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「あそこ!出るらしいぜ」

学食で騒がしい連中が、盛り上がってる。

俺は1人トレイに載せたカレーを静かに机に、置いた。

「ニノっ!聞いた?」

隣の席にガタンと乱暴にトレイを置きながら話しかけてくる。

この学校じゃ、有名な先輩、桜井翔だった。

「何がですか?」

俺は眉間に皺を寄せながら怪訝な顔でカレーを掬った。

「あの一日2本しか来ない海沿いのバス停だよ!」

少し興奮気味に話す翔さんに俺は見向きもせずにカレーを口に運んだ。

「出るって。」

「出る?」

グラス風のプラスチックカップに入った水を一口飲む。

「これだよ、これっ!」

翔さんが手をぷらぷらさせてお化けのポーズを取る。

俺は肩を竦めて苦笑いする。

「俺、翔さんがその手の話、信じる人だと思ってませんでしたよ。意外。」

二口目をスプーンですくう。

翔さんはぷらぷらさせていた手をパンっと膝について、今度は手を合わせ頂きますっと呟いた。

「相変わらず冷めてんなぁ、おまえは」

「冷静って言って貰えますか?…あ、またB定食頼んでるし…翔さんダイエット中って言ってませんでした?」

「おっしゃる通り」

翔さんは肩を竦めてフォークとナイフでハンバーグを切り分け始めた。

「だからぁ、こうして優しい俺はお前のだいっすきなハンバーグの端っこを分けてやろうってんじゃないか。…ホラ、ハンバーグカレー!it’s amazing♡」

「これっぽっちじゃ、学食No. 1の高カロリー食に変わりないですからね…」

俺はため息まじりに呟いた。

翔さんは泣き真似をしながらも、美味そうにハンバーグとエビフライ、ウインナーに目玉焼きが乗った皿の中身を堪能し始めた。

ライス大盛りになってるし…

リスみたいに口をパンパンにしながらまた喋り出す。

「ニノ、あのバス停たまに使ってるよな?」

「あぁ…たまにね。なにせ、2本しか来ないから。だからほんと、たまにだよ?」

「男の幽霊らしいぜ。いっつもあのバス停に座ってるって」

翔さんが面白そうにクスクス笑う。

「へぇ…」

「へぇっておまえ…霊感は?ない?」

「霊感うんぬんの前に幽霊なんて…いるでしょうけどね…そんな噂になるくらいみんなに見えてるんじゃ、もうその人幽霊じゃなくて、ただの人間なんじゃないですか?…俺、あそこで男の人…何回か会ってますよ?」

翔さんが飲んでいた味噌汁をブハっと吐き出した。

「わぁっ!きったないなぁ…」

顎に垂れた味噌汁を手の甲で拭いながら翔さんが呟いた。

「おまえ…会ってんじゃない?」

「はぁ?」

「いや、だからさ、その有名な幽霊にだよ」

夏真っ盛りの高校の学食。

2年上の先輩は

どうやら暑さで頭がイかれたんだと

ハンバーグにカレーのスプーンを突き刺した。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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