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「抜糸まであと二、三日ってとこだな。また連絡する。状態は良好だ。傷が開くと行けないから、あんまり無理はさせるなよ。良好と言ってもな!」

松岡さんは大きな目で俺を見てニヤリと笑った。

『わっ!分かってますっ!ちゃんと安静にっ!』

「安静の中にS.exは含まれない。暫くは禁欲しろ」

『ゔっ…』

「相葉ちゃん、どっから声出してんだよ…ったく」

櫻井さんに呆れたとばかりのツッコミを入れられて、項垂れた。

「ふふ…怒られてやんの」

二宮さんが揶揄うように呟くもんだから、すかさず櫻井さんが

「おまえも禁欲しろっ」

と突っ込まれた。

二人して目を合わせて肩を竦める。

松岡さんはソファーにかけていたロングコートを手にしてゆっくり羽織ると、黒く大きな診察鞄を手に玄関に向かった。

皆んなでぞろぞろと追いかける。

「ありがとうございました。」

櫻井さんが頭を下げる。

「気にするな。あ、ニノ、また飲みに行くからしっかり接待してくれよ」

ニヤっと微笑んだ松岡さんに、二宮さんは妖艶な微笑みで

「借りがあるからね。松岡さんカッコイイし、頑張らせて貰うよ。待ってる」

と言った。

松岡さんはそんな二宮さんにバチンと派手なウインクをして、隣に立つ俺の肩をバァンと叩き出て行った。

パタンと閉まった玄関扉。

俺は隣りに立つ二宮さんを見下ろす。

『あんた…あの短い時間にどうやってたらし込んだんだよ』

眉間に皺を寄せて呟くと、拳を口元に当てクククッと笑う二宮さん。

「さぁな…企業秘密。相葉さんに言ったら噛み付くもん」

スタスタとリビングに引き返して行く二宮さんに櫻井さんが、あんまり虐めるなよと笑いながら一緒に行ってしまう。

残された俺にヨコが呟いた。

「相葉ちゃん、これから大変やな。あれは天性の人たらしやから。まっ!しっかりなっ!」

ポンポンッと肩を叩かれ、ヨコもリビングに行ってしまう。

俺は手のひらで顔を覆い、前途多難な関係に溜息をついた。

それでも、暗い廊下の先に見えるリビングの向こう、バルコニーから射す光は、見えないトンネルの出口に見えたんだ。

 

皆んなの後ろ姿を見て苦笑いする。

『番犬、頑張んないとな…』

呟いた独り言は、思ったより重たく廊下に落ちた。

投稿者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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