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引っ越し業者が慌ただしく出入りして、荷物はあっという間にトラックに積まれた。

新しいマンションは、二宮さんが働かなくても俺が払える程度の家賃で、正直ボロい。

『本当に良かったんですか?こんな…』

俺は新居に着いて、積み上げられた段ボールを見つめながら言葉を濁す。

みなまで言わずとも分かるであろう。

二宮さんは、カラカラカラっと建て付けの悪い桟を鳴らし、狭いベランダに出る。

「せっまいね…ふふ…俺、ここ好きよ。相葉さんと毎日ここで飯食って、エッ.チして、喧嘩して…生きてくんでしょ?」

振り向いた二宮さんがニッコリ微笑んで、頭をコテンと倒す。

『随分と甘やかすんですね…俺の事』

二宮さんは空の色が見る見る変わる背景を背負いながら、ぼんやり呟いた。

「…惚れちゃったからね…」

『二宮さん…』

近づくと、白い手を伸ばして優しく笑う彼は言った。

「相葉さん…お手」

俺はその白い手を引いて二宮さんを腕に抱いた。

「ふふ…躾直しかな…」

『お手じゃ足りないでしょ?』

顎を掬うと、二宮さんは目を閉じた。

「キスをねだる犬なんて聞いた事ないけど?」

『貴重ですね』

「…貴重だね」

肩を竦めた彼の唇を甘噛みして、口づける。

ふふッと笑いながら、もつれるようにフローリングに倒れ込んだ。

投稿者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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