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夜の街の繁華街。

「ここ置いときますよ~」

『ありがとう』

おしぼりの配達のお兄ちゃんはいつもの金髪くんで、外は朝から雪がチラついて、夜になってもまだ止まない。

俺はいつもみたく蝶ネクタイを付けた制服に身を包み、客が入る準備をする。

テーブルに灰皿をセッティングするヨコが呟いた。

「そうや、引っ越し祝い!何がええ?」

『えぇ~、いいよぉ、そんな気を遣わなくても。』

おしぼりをホットキャビンに詰めながら苦笑いする。

「いやいや!あかんて!だって手ぶらで遊びに行かれへんやん!」

『うわぁ…誘ってないんだけど』

「アハハッ!何いうとんねん!俺と相葉ちゃんの仲やろ!あっ!滝沢さんも何送りつけたろって言うてはったで。」

『うそっ!!滝沢さんからの引っ越し祝いなんて、考えただけで何か怖いよ』

「なぁ~、俺もそう思う!お返し大変やんな!金額ハンパなさそう!」

『やめろよぉ~』

「あぁ、そうや、後な、櫻井さんと松岡さんも乗り込むつもりやから、つもりしときや」

俺は唖然として、おしぼりをボトボト落とした。

『あのさぁ…前みたく綺麗なタワマンじゃないよ?もう、すっごいボロいんだから』

肩を落として落ちたおしぼりを拾い上げる。

「そんなん気にせんで良いやん。相葉ちゃんが一人でも支払える金額でさがしたんやろ?家」

俺はヨコの言葉にポリッと指先で頰を掻いた。

『まぁ…そうだけど』

「かっこええやん!二宮さん絶対惚れ直したと思うで。いつか、辞めさせたいんやろ?」

『うん…BARとかをね…二人で細々出来たらなぁって。金貯めてさ』

「おっ!聞き捨てならない話してんじゃん」

俺とヨコはビクッと肩を飛び上がらせて振り向いた。

そこには高そうなスーツに身を包んだ滝沢さんが立っていた。

やべぇ…叱られる…

咄嗟に血の気が引いて持っていたおしぼりを握り俯いた。

近づいて来た革靴の先がやけに黒光りして、自分の情けない顔が写るんじゃないかと思った。

「うちのグループから、店を出そうと思う。…アイツが抜けるのはかなり痛いが、おまえの言うBARってヤツ…やってみないか?ニノと二人で。」

『た、滝沢さんっ…』

「まぁ…アレだ、引っ越し祝い?」

俺は口をパクパクして、信じられないとばかりにヨコに目をやる。

ヨコはバァーンと俺の背中を叩いて俺をギュッと抱きしめた。

「相葉ちゃんっ!!やったやんかっ!!」

「何騒いでんだ?」

そこへ櫻井さんが現れる。

ヨコが俺から離れて、櫻井さんに飛びついた。

「滝沢さんがっ!二宮さんと相葉ちゃんにBAR経営せんかって!」

「ほぉ~…粋っすね、滝沢さん。」

「命あっての…だからな。使いもんにならなくなっちゃ困るんだよ。」

クスッと笑う滝沢さんに、櫻井さんがフフッと笑う。

「全くですね。これで、行きつけの店が増える。良い店作ってくださいね。」

「何?誰か落とす為に使う気だろ」

「うち、社内恋愛禁止じゃないっすよね?」

櫻井さんの言葉に目をパチクリする滝沢さん。

「え…まさか、ヨコ?」

「えっ!?俺?!」

ヨコが自分を指差して後ずさる。

俺も握ったおしぼりに力が入った。

櫻井さんは腹を抱えてケラケラ笑う。

「アハハハっ!俺が?ヨコ?いやいやっ!ナイナイ!アハハハっ!」

「櫻井さんっ!俺も傷つきますよっ!」

「あぁ、悪りぃ悪りぃ」

櫻井さんは目尻の涙を指で拭う。

そこに松潤が入ってきた。

「はよーっすって…翔さんこの手、何?」

挨拶しながらバックルームに向かいかけた松潤の腰を抱いて引き寄せる櫻井さん。

バチッと滝沢さんが額を叩きながら呻く。

「おぃ…マジかよ…うちのナンバーワンに手出すか?」

「出されてません!」

松潤はパンと櫻井さんの腰を抱く手を叩いた。スタスタとそのままバックルームに消えていく。さながら高級な猫のような身のこなし。

櫻井さんは苦笑いしながら

「ずっと口説いてんだけど、中々落ちないんだよなぁ~、絶対アイツ俺が好きなくせに」

と呟いた。

『す、凄い自信』

「あ?」

俺の呟きに眉間に皺一杯の櫻井さんが迫る。

『いやっ!何もないですっ!本当っ何もっ!』

「ゴホンッ!まぁ…アレだな!とにかく!ニノと良く話せ。俺は事務所に居るから」

滝沢さんはちょっと取り乱した場を抑えるように咳払いして、頭を掻きながら事務所に消えて行った。

そんな流れの中だ。

やっと俺の

恋人登場。

投稿者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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