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校門では風紀委員が立番をしていた。

その中に一際目立つ男がいる。冬空だ。

青葉がチラリと俺を見たのが分かった。

俺は完全に休日に起こったあの出来事を鮮明に思い出し、身体が強張るのを感じていた。

青葉にバレないように普通を装わないと!

そう思っていたのに、冬空の奴っ!俺の腕を掴んで突然訳の分からない事を言った。

「髪、明るいな。後で指導室に来い」

俺はビックリして俯いていた顔を弾かれたように勢いよく上げた。

冬空は俺の髪色が地毛だって知ってるくせにっ!

食いつこうとした俺に、青葉が冬空に掴まれた手を乱暴に引き離した。二人はジッと睨み合い、青葉は冬空に言い放った。

「コイツの髪は生まれつきだ。申請書も出てる。…触んな。行くぞ秋空」

青葉は俺の肩を引き寄せ校門を抜けた。

俺は後ろを振り返り冬空の様子を見つめる。

まるでさっきのやり取りなんてなかったように、冬空は違う生徒とハイタッチをしたりニコニコと朝の立番を勤めていた。

一切、こっちを見る事もなく…。

「何?白川、気になる?」

青葉は靴箱から上靴を摘み出し、すのこの上に落とした。

「は?んなわけねぇだろっ!」

俺も上靴を出して履き替えるとローファーを靴箱に押し込んだ。

本当は違う。

気にならないわけない。

あんな事した後なのに…

動じない冬空の様子を見ていたら、まるで俺に飽きたみたいだった。

投稿者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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