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教室に入ると、博士がニッと俺に笑いかけた。

青葉と登校したのを見て、上手くいったんだと思ってるんだ。

まぁ、確かに仲直りはしたんだと思う。

色々あり過ぎたけど…。

で、あり過ぎついでにさっきの校門での一触即発は朝から何だか疲れた。

項垂れるように鞄を机に置き、枕がわりに顔を埋めた。

ガタンと前の席の音がして、項垂れていた俺は顔を上げた。

「宿題は?」

前の席の椅子に腰掛けノートでポンと頭を叩いて微笑んだのは博士だった。

「ぁあ~、やってねぇ~…」

「一限、白川だぞ」

力なく鞄を抱きしめた俺は博士の言葉にガバッと飛び起きた。

「嘘っ!!三限じゃなかったっ?!」

「数学の佐々木がコピー機の不調でプリント刷れなかったらしいぜ。で、三限の英語と変わったらしいわ。ホラ」

博士が黒板を振り返ると、割と控えめな字の大きさで変更が記されていた。

黒板を書いたであろう日直は、クラスでもかなり控えめな田中さん。

控えめなのはどうやら性格だけではないらしい。

「あんなちっせぇ字!読めるかよっ!!間に合わないっ!絶対間に合わないっ!!」

博士はポリポリと頰を掻きながら苦笑いして

「まぁまぁ、とりあえずうつせるとこまで書けよ。ホラノート!」

「わぁ~ん!博士、神ぃ~!!」

俺は抱いていた鞄から慌ててノートを取り出した。

シャーペンの芯が折れそうな程に力を込めてガリガリ写す。

頬杖をついた博士は控えめな声で呟いた。

「青葉とは?」

「ん~…うん、まぁ…友達…仲直りは…出来た」

あれから仲直りして、また喧嘩して、仲直りしたっていう経緯は説明しがたい。

冬空の事だって…言えたもんじゃない。

パキッ!

シャーペンの芯が勢いよく折れたところで、教室に冬空が入って来た。

「授業始めるぞー、席につけよ~」

冬空の声がけでバタバタと席に着く生徒たち。

博士は肩を竦め

「タイムアウトだな」

と容赦なくノートを持って立ち去ってしまった。

投稿者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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