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「宿題で出してたノート適当に集めて前持ってこーい」

冬空の言葉にクラスの女子が一斉に席を立った。

相変わらずのモテっぷりに胸焼けがしそうだ。

女子達は周りからノートを掻き集め、冬空の居る教卓に駆け寄る。

「ありがとう。よし。サンキューな。はーい!じゃ、授業始めるぞー。静かに~」

ネイティブな発音全開の音読を聞きながら俺は朝から緊張し過ぎたせいか眠くなっていた。

すっかり気温も上がり始めた5月も半ば。

もうすぐブレザーともおさらばだ。

そんなどうでもいい事と、冬空の綺麗な英語が微睡む。

コン…コンコン

机を指で打つ音が耳に響いた。

それもヤケに大きい。

「ん…ぅゔ~」

「お目覚めか?俺の授業で居眠りとは余裕だなぁ?後で職員室に来なさい」

「……っっ!」

俺は驚いたのと同時に冬空が悪戯にニヤリと微笑むのを見逃さなかった。

くっそー!寝てた俺が悪いけどっ!!

すがるような思いで博士に視線をやると、肩を竦めてやり過ごされた。

怖くて青葉の方を見れない。

きっとまた馬鹿だろって怒るんだ。

「集めたノートは日直と誰かあと一人、職員室まで運ぶようにぃ~。」

授業終わりに指示を出すと、冬空は黒板の文字をザックリ消し、最後にチラッと俺を見た。

天使の皮を被った悪魔めっ!

ガックリ肩を落とした俺は授業が終わり教室を出て行く冬空を追いかけた。

「冬空っ」

「おぉ~不良少年」

「うるさいっ!不良教師が良く言うぜ」

言い返すと、冬空はゆっくり近づいて、持っていた教科書で俺達の顔を隠し、触れるだけのキスをした。

「とっ!冬空っ!!」

「おっと、失礼、不良教師なもんで」

俺はプルプル震える拳を強く握りしめて怒鳴るのを堪えた。

「来いよ」

「はぁ?職員室そっちじゃねぇだろ」

いつだったか引き込まれた使われていない教室に入っていく冬空。

俺は廊下に立ち尽くし、迷いながらも鼓動が早く打つのを

感じてしまった。

投稿者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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