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昼休みになって、青葉と博士が保健室にやって来た。

「寝不足?」

青葉はベッドの側にあった丸椅子に座りながら呟いた。

「そんなんじゃない」

「俺のせい?それとも…白川?」

「なっなんで冬空が出てくんだよっ!」

「図星かよ」

チッと舌打ちする青葉。博士がまぁまぁと宥める。

「秋ちゃん、昼食える?それともまだ寝てる?」

「いや…腹、減ったから戻る。」

「良かった!さっき青葉がクリームパン買っておいてくれたんだぜ。屋上、行くだろ?」

俺はフイとそっぽを向いたままの青葉を見つめた。

青葉は小さな頃から優しかった。

本当に優しい奴だった。

喧嘩してようとなんだろうと、一番は自分じゃない。

いつも俺を優先する。

「クリームパン…ありがとな」

「…おぅ…」

俺がうれしそうにすれば…青葉はいつだって、それより嬉しそうな顔で笑う奴だった。

俺は、青葉を大事にしたいと思ってる。

ちゃんと…ちゃんとだ。

三人で保健室を出て屋上に向かった。

屋上に出た俺たちをビュッと強い風が煽る。

視界を塞がれるような勢い。ゆっくり目を開くと青々と色づいた葉が鳴る音がして、太陽が雲間を抜け、キラキラ光った。

博士は眼鏡を反射させながら手で庇を作り、呟く。

「夏だなぁ…すっげぇ入道雲じゃね?」

三人で、眩しそうに目を細め、空を見上げる。

「今年も暑くなるな…」

「うん」

「食おうぜ!腹減ったぁ~」

俺達は何もなかったように昼飯を食べた。

何も、なかったように。

博士は俺と青葉のバランスを見ながら、きっと気を使っていただろう。

青葉はずっと冬空の事を気にしながら、時折空を見上げて、俺達にバレないように小さな溜息を吐いていた。

俺は…そんな青葉に気付かないフリをしながら…冬空の事を

考えていた。

投稿者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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