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一時間程経った頃、キッチンから良い香りをさせながら冬空がハンバーグとライス、簡単なサラダをワンプレートにして持ってきた。

「すごっ…冬空、料理出来るんだな!」

「仕方なくだよ…さ、食うぞ」

「うん、頂きます!」

グゥグゥ鳴り響いていた腹に大好物が送り込まれる。

「美味いっ!めちゃくちゃうまいよっ!」

「ハハ、良かった。」

冬空は満足そうに笑った。瞳の色は寒々とした灰色をしているのに、細められた目に温かさを感じ、ドキドキと身体が反応してしまう。

冬空は狡い。

カッコイイと思っていたら、突然可愛く笑ったり、子供みたいにはしゃいでバスケをしたり…かと思えば、今にも泣きそうな顔をする。

俺はどの冬空も、自分に向いているのを知っていた。

「はぁ…久しぶりにちゃんと食ったな」

冬空がソファーに持たれながら呟いた。

「食べてなかったのかよ」

「男の一人暮らしなんてそんなもんだろ。中間テストが近いから残業続きだったしな。」

中間という言葉を聞いて途端に現実に引き戻された気がした。

俯く俺の髪を撫でる冬空。

俺は自分からゆっくり話し始めていた。

「青葉が…」

「やっぱりアイツか」

パチンと額に手を当て、そのまま長い前髪を掻き上げる冬空。

「テスト前は…どっちかの家で勉強会をするって…俺達の間じゃ、ずっと続いてきた事で…」

「寺崎に断られたんだな…」

冬空の隣に座っていた俺の頭をグイと引き寄せられる。

肩に頰を寝かせた俺は、苦笑いしながら頷いた。

「俺は…多分青葉の気持ちには応えてやれない。だけど…側に居て欲しい。」

「随分勝手だけど?」

「分かってる!…けど…ずっと一緒にいたんだ。友達だから…」

「秋空のそういう真っ直ぐなところ…寺崎には堪えるだろうな…」

俺はガバッと身体を離し冬空を睨んだ。

「俺はっ!」

「寺崎はおまえを友達だとは思ってない。それがどういう意味か分かるか?」

「分かるかよっ…」

「秋空鈍いもんなぁ」

「だからっ!そんなんじゃなくてっ!俺は…青葉が大事だから…わぁっ!」

ドサッと背中がソファーに叩きつけられる。視界が一気に天井と冬空のアップになって、顔が熱くなる。

「青葉が大事とか…おまえ誰の前で言ってんの?」

「ちがっ…」

「違わねぇよ。」

「んぅっ…ンッ…」

キラキラ光る金髪が頰を撫で、唇が重なると乱暴に舌が押し入ってきた。

胸元の服をギュッと掴んで身体を押し退けようともがくのに、びくともしない。

散々口内を掻き回され、吐息が漏れる程に息が上がった。

「ほら…またすぐ泣く…本当におまえは狡い奴だよ」

冬空は苦笑いして腕を引くと正面から抱きしめられて頭を撫でられた。

「秋空…俺が好きだろ?」

少し掠れた冬空の声。

俺は

ついに白状するはめになった。

静かな室内で、冬空の腕に抱かれながら彼をゆっくり見上げた。

それから、小さく呟いた。

「俺…冬空が好きだ。」

投稿者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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