17

シャワーを浴びて、潤くんの服を借りて部屋へ上がった。

ベッドに腰を下ろした潤くんはフローリングに膝を抱えて座る俺をジッと見つめた。

「バス停でね…」

俺は観念して話し出した。

「不思議な人と出会ったんだ…相葉雅季っていう名前で…背が高くて、細身のスラっとした人でさ…笑うとね…目尻にシワが沢山出来るんだ…。携帯知らないみたいでね…ゲームとかやらせても全然ダメなんだよ…もうほんとポンコツでさ…ちょっと古風なんだよね…服装とか…持ち物とかさ…」

『ニノ…』

潤くんが眉をひそめる。

「心配してるのは…お化けの話だろ?…あのバス停に居るって」

『俺も最初は信じなかった。…だけど翔さんに聞いてるうち…ちょっと…ホントなんじゃないかって…』

「翔さんに?」

『……見たんだよ、翔さん。おまえが…バス停に居るところ』

潤くんは息を吸い込んでからまた話始めた。

『おまえの顔色が日に日に悪くなるもんだから気になってついてったみたい。…おまえさ…』

「まさかだよね…俺…誰かと一緒に居たんだよね?…」

潤くんは俯いてため息を落とした。

ゆっくり首を左右に振る。

『おまえ…一人だったんだよ…』

そんなはずはなかった。

ここ最近は…バス停で相葉さんが居ない事なんてなかった。

俺があそこに一人で居るはずが

ないんだよ。

『一人で…話してたって。誰も居ないのに…おまえ…楽しそうに笑ってたって…呼びに行こうとしたら、バスが来て…翔さん…動けなかったって…』

「あぁ…だからか…あの人…なんで最近チャリンコじゃないんだとか…そっか…俺…一人で……そっか…んふふ…ふふ…」

『ニノ?』

クスクスと笑いが止まらなかった…

俺は…

幽霊に恋したって言うんだろ?

いつしか乾いた笑いがどうしようもない感情に押しつぶされそうになり、苦しくて抱えた膝をキツく引き寄せた。

涙がいくつかポタポタ溢れ落ちた時…身体を温かい人肌が包んだ。

「潤くん…ぉ…俺ね…男の人と…寝た。」

『……うん。…うん。』

「相葉さんに告白して…バス停でバスに乗らず俺…倒れたみたいでさ…気づいたら相葉さんの家に居た。凄い古い家だったよ…だけど…家の中は凄く綺麗だった。古い本とかね…万年筆とかが転がってたけど…俺があんな汚れてしまうような室内じゃなかった」

潤くんが俺を抱く腕に力を込めた。

『ニノ…ごめん…俺の予想なんだけど…』

「うん…」

『その家は…ないかも知れない』

「うん…そう…だね…きっと…そうだよね」

『取り憑かれた…って思わないか?』

「ふふ…あの人が?そんな…そんな物騒な人じゃないよ…ただ…もう…会えない気がしてる。」

潤くんは俺の身体を引き離して肩に手を置いた。

俺を覗き込みながら…ため息をつく。

『会いたいの?』

「俺ね…好きなんだ。相葉さんの事…」

『ダメだっ!!ダメ!相手は幽霊だぞ!おまえ!このままだと連れて行かれちまうだろが!!』

潤くんは俺の目を覚まさせようと掴んだ肩を強く揺さぶった。

たしかに…姿見で見た自分の姿を見たら…

ヤバイのかな…なんて、思わなくもない。

目の下のクマ

以前より痩せた身体

虚ろになる意識

食欲も近頃無かった。

力なく答えた。

「あの人と居られるなら…構わないよ」

『ニノっ!!!しっかりしろよ!!絶対そんな事!絶対させないからな!!』

潤くんが俺をもう一度抱きしめた。

俺は冷たくない潤くんの肩に頰を寝かせて

「ごめんね」

小さく

呟いた。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

2 Comments

  1. あ、相葉ちゃんが、まさか幽霊だったとは…。翔くんも潤くんもスゴく優しい❗️とても悲しかったです…

    arashi6181211
    1. 途中はとても切ないお話でした。
      また最後で気持ちが変われば嬉しいなぁ♡

      ninon

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