18

あの日からやっぱり相葉さんは俺の前に現れない。

俺に見えなくなっただけなのかなって

ぼろぼろのバス停の長椅子に腰掛けて、1人で喋る日が続いた。

潤くんも翔さんも何も言って来なくなった。

呆れられたのかと苦笑いして眠りにつく日もあったけど…

ある日…潤くんがうちに翔さんとやってきた。

古い新聞記事のコピーだった。

2人が俺に干渉しなくなった期間、何をしていたのかが一瞬にして理解出来た。

その新聞記事はまるで現代文とは違う読み方で戸惑った。

名前を

見つけた時

写真を

見つけた時

俺は思わず嘔吐しそうになる気持ちを抑え込み、崩れ落ちるようにして、その紙切れを胸に抱いた。

“病死したカズヤという男性は入院する以前…

相葉雅季という男性の家で生活を共にしていた。

カズヤの死後、雅季はカズヤの後を追った。”

後追い自殺をほのめかす文章は俺の心を激しく動揺させた。

つまらない三面記事だったに違いない。

小さなスペースで2人の顔写真が並んでいた。

自ら命を絶った彼が成仏せずあの病院が見えるバス停で読書をしていた事に心が潰されてしまいそうだった。

相葉さんの言葉を思い出す。

僕らはずっと     隠れていたからね…と。

今とは違う差別の目の中で愛を育み…先立たれた不幸を…あなたはどんな気持ちで耐えただろう。

華奢なカズヤさんを1人に出来なかったに違いない。

あの人は…優しい    優しい人だから。

写真を見て…カズヤさんが、あんまりに俺とソックリ過ぎて涙が止まらなかった。

相葉さんは

俺にカズヤさんを見てたんだ。

いつもハッとした顔を見せていたのは

そういう事に違いない。

「ニノ…もうバス停に行っちゃいけないんだよ。」

翔さんが心配そうに呟く。

俺がまだバス停に通ってるのを知ってんだね。

俺はぐちゃぐちゃになった顔で翔さんと潤くんを見つめた。

「…相葉さんの…お墓ってどこにあるんだろう…」

『ニノ…』

「花を…持って行きたい。俺…どうしても聞きたい事…あるんだ」

翔さんと潤くんは顔を見合わせて頷いた。

「分かった。調べてみよう。…ただ…ニノが踏み込んでいいのは…そこまでって約束してくれよ」

『ニノ…約束して』

俺は2人に微笑んでみせる。

ここまでだね。

分かってる。

ここがきっとギリギリで限界のライン。

俺が相葉さんに近付ける

…限界のライン。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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