19

何日か俺はバス停に足を運ぶことは無かった。

翔さんや潤くんとの約束を守るためだったのは言うまでも無い。

暑い夏の日差しの中で、バス停に向かわず自転車を漕ぐ俺はまるで現実から逃げてるみたいだった。

あの日々は本物。

今、相葉さんと会えない事こそが夢なんじゃないかって…

いつまでも消えない身体に残された内出血の痕が、あれは夢では無かったんだよって伝えて来るんだ。

相葉さんは…俺を…待ってる。

そんな馬鹿な妄想をしては1人で泣いた。

混沌とした生活が何日か続いて、翔さんと潤くんが相葉さんのお墓が分かったと連絡をくれた。

昼間の暑さが嘘みたいに冷え込んだ夜だった。

俺の部屋に来た2人が住所の書いた紙をくれた。

墓地のある住所が書かれた紙を指差して翔さんが呟く。

「1人で…行くなよ」

『それも約束な。ニノ…まだ顔色が悪いし…お祓いとか…そういうの…した方が良いのかなとか…翔さんと話してたんだけど…』

「問題ないよ。…大丈夫。」

俺は苦笑いしてしまう。

相葉さんをお祓い?

こんなに…会いたいのは俺なのに?

俯いたら、膝の上にパタパタと涙が落ちた。

思い出すあの人の綺麗な首筋のライン。

サラサラと潮風になびく髪。

少し焼けた肌に麻のシャツが優しい色合いで溶けて…

俺を一度だけ愛した身体は線が細くてだけど…筋肉質な逞しい腹筋と腕を持っていて…

長い指が俺の髪に埋まって…クシャっと目尻に皺を作って少し首を傾げて笑う。

「ニノ…泣くなよ…」

翔さんがソッと背中をさすってくれる。

反対側から潤くんが俺を包んだ。

『明日、朝迎えにくるから…』

耳元で苦しそうに囁いた潤くんの声。

俺は嗚咽を殺して頷いた。

その夜、酷く寝つきは悪くて…

随分部屋は涼しく冷え込んでいるのに、汗が止まらなくて、苦しかった。

何度も寝返りを打っては目をぎゅっと閉じた。

だけど…ゆっくり開いたその先に蛍の光を見つけて…

飛び起きたんだよ。

二階にある自分の部屋の窓を全開に開けて手を伸ばした。

蛍はソッと指先に止まり…

挨拶するみたいにクルリと回って空に飛び立った。

蛍の居なくなった指先を見つめる。

相葉さん…

苦しいよ

胸の奥がチリチリと痛むんだ。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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