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パソコン画面がチカチカと光る。

映像が揺れて、暗闇からインテリアセンスの光る部屋が映し出された。

ガザガサと音がする。

「お邪魔しまーす」

『上がって上がって~』

相葉さんが松本さんと一緒に帰宅した。

リビングの映像では、二人がソファーにかけながら、缶ビールで乾杯する姿。

何だか変な気分だった。

ソワソワして、さっきまで恐れていた裏切りが下半身を刺激する。

「ハハ…マジでキモい…ビンビンなんだけど」

俺は部屋着のスウェットの股間を撫でた。

とんだ変態だ。

自覚していたせいか、自慰行為にブレーキをかけて、膝をギュッと抱え込んだ。

その膝に頰を寝かしながら二人を眺める。

「凄いイケメン…顔面の力で画面潰されそう」

ボソッと呟いて画面の二人に向けて缶ビールを乾杯っと小さく掲げて見せた。

チビチビとビールを口にしながら二人の会話を聞いていた。

『本当!おめでとう!先越されたなぁ…。松潤めちゃくちゃプレゼン力あるし、敵わないわぁ。』

「何言ってんだよ!相葉くんだって、今月忙しくしてたんだし、俺のライバルとしてはこれからも追いかけて、抜かすくらいの心積りしといてくれよな!」

『本社勤務かぁ…夢だなぁ。俺も頑張るよ!』

「おぅ、待ってるからな。あ、最近さぁ相葉くんニノと仲良いよな?…もしかしてぇ…」

俺は、俺の居ない所で相葉さんが俺の事を何て口にするのか…それが気になって、ソファーから身を乗り出した。

『ハハ、松潤には敵わない。ほんっと…何にも勝てないよ。そのもしかして…なんだよね。』

「勝ってるじゃん。」

『え?』

「ニノと付き合ってるんだろ?」

『…うん。』

ちゃんと言うんだ…俺なんかと…付き合ってるって…ちゃんと…

「へぇ…何で?相葉くんノンケ中のノンケだと思ってたのになぁ」

画面の相葉さんは苦笑いしてビールを煽った。

『うん…俺もそう思ってた。…だけど…俺、ニノが好きだって気づいてから、ちょっと変っていうかさ…今までに感じなかった不安みたいなもんに襲われたりするんだ。誰にも盗られたくないっていうか…なんて言えば良いのかな?なんか、不思議な感じ。独占欲とか、あんまり無かったんだよね、俺。それがニノには凄いある…アイツの事、好きなんだなぁって…最近毎日思ってる。』

「…惚気るじゃん…」

『ぁ、あのさっ!勘違いだったらごめん!松潤さ…ニノの事…』

「ん?…あぁ…まぁ、嫌いじゃ無かったな。でもまぁ、タイプじゃないし、好きでもないわ。相葉くん、俺がバイだからって考え過ぎだよ!ハハ!」

タイプじゃないし

好きでもない

松本さんの口から溢れた言葉に、知らぬ間に涙。

どんな気持ちか…俺は知らないとならない。

抱いた膝。

小さくする身体。

目を閉じて、彼の声を聞いていた。

イラストby manao

「アイツ、暗いし、寂しがりっぽいから相葉くんしっかり見ててやんないとすぐどっか行っちまうぜ。気をつけろよ。」

『脅すなよぉ…』

「だって、男の経験がない相葉くんにアドバイス出来る事はしといてやらないとな!ほら、アイツすぅぐ下向くじゃん。あんな綺麗な目してんのに…勿体無くない?」

『くふふ…、松潤はやっぱ良く見てるよ。確かに!ニノはすぐ俯いちゃうんだよね。あんな可愛い顔してんのに!』

俺は…

ここで何をしてるんだろう。

松本さんが笑ってる。

それが…正しいのか分からなくなってる。

「相葉くん…頼んだよ。」

『え?…何だよ…』

「ニノ…ぁ~…ほら…俺、虐められなくなんじゃん?相葉くんに任すよって話!」

『あぁ…ビックリした。最近、松潤、ニノと仲良く見えたから、一瞬焦ったよ。』

「ハハっ!そんな人を節操ない生き物みたいに言わないでくれよ!」

相葉さんと松本さんは缶ビールを乾杯したりしながら笑い合う。

松本さんの嘘がバレてないように。

相葉さんがもしかしたら全てを気付いているように。

どちらとも取れない絶妙な掛け合いで二人が笑い合うのをただ見ていた。

心が曇って、どうしょうもなかった。

膝に顔を埋めて、声だけで二人の会話を堪能した。

もう、お腹が一杯で苦しかった。

相葉さんは相変わらず飲みすぎて先に潰れてソファーで眠ってしまう。

各所に備え付けられた映像が順番に暗闇に変わる。

プツン

プツン

音を立てて消えていく。

最後はリビングでの映像だけになった。

松本さんの口元が映って…

“愛してる”

そう呟いて…悪戯にニヤリと笑ってチュッとふざけた投げキッスをしてきた。

そのすぐ後

何もかも…消えてしまった。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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