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揺れる電車。

いつもの隅っこの席。

二日酔いかな?

グッタリ傾いた身体をポールが支えてる。

朝のジョギングは休んだのだろうか?

神社には立ち寄らなかった?

朝食のフルーツは何にしたの?

目の前の相葉さんの事を、何も知らない気がして怖かった。

うちのパソコンはもう、あなたの何をも映し出さないんだよ…

俺は…俺は…

ガタンと強く線路の軌道が変わり、車体が揺れた瞬間、目を閉じていた相葉さんが目を開いた。

『ぁ…ニノ、おはよう。…何で』

「ぅ…ぅゔ…」

相葉さんは席を立ち前に立ち、静かに泣く俺を抱きしめた。

満員電車で…

人が沢山居るんだ。

カッコイイあなたは、俺なんかだけじゃなくて大勢の人目を引いてるんだ。

そんな中、俺を抱き寄せて良いはずが無い!

フワッと俺を包んだ相葉さんの香水が魔法をかけるように思えたけど、俺は目を見開いて胸元を押し返した。

見上げたら、相葉さんは困った顔をして呟いた。

『どっか痛い?…どうして泣いてんの?』

あなたをストーキングしていた材料がなくなって孤独だなんて、言える筈も無くて、俺は視線を靴に落として呟いた。

「相葉さん、みんな見てるよ。離れよう」

その瞬間だった。

腰を強く引き寄せられ、胸元がしっかり密着する。

「キャッ…」

「見て見て!本物?BL?」

女子高生達の好奇の目が囁きを連鎖させる。

俺は小さく身を捩った。

「ぁ…相葉さんっ!」

『やだよ。離さない。泣いてるニノが悪いよ。…誰にどんな風に思われても、俺はニノに嫌われんのが一番怖いよ?』

俺は相葉さんの言葉にポカンとバカみたいな顔を向けてしまう。

頰を流れる涙はビックリして止まらない。

驚いた。

相葉さんが…

俺に嫌われるのが怖いだって?

それじゃあ、俺と同じじゃないか。

俺なんかと…

同じじゃないか。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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