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震える唇をギュッと噛み締める。

肩に乗せた額が熱い。

「いいの?そんな…そんな事言って…」

『ニノ…?』

「相葉さんが…朝、何を食べて…いつシャワーを浴びて、何時に眠ったのか…俺は何にも…何にも知らなくて…いいの?そんな奴で、いいの?」

グズグズと鼻水を啜りながら呟く俺の後頭部を撫でながら、相葉さんは少し困惑した様に返してくれる。

『ニノはやっぱり面白いね…俺のそんな事が知りたいの?だったら…毎日教えてあげるよ?毎日ちゃんと話そうよ。…それが面倒なら、もう一緒に暮らせば良い』

俺は口を手の平で押さえる。

でないと、変な声と共に号泣して膝から崩れ落ちそうだった。

「あなたは…本当にズルい」

グズって呟く俺を支えながら駅に着いた。

ホームの人混みが引くのを待って、相葉さんは『あっ…』と呟いた。

相葉さんの視線の先を辿っていくと、ホームから見える空に虹が見えた。

それは大きくて、立派な架け橋に見える。

色彩がはっきり明確に浮きぼって、まるで絵の具でそこに描いたようなモノだった。

晴れているのに、寒空からは雪になりきらない雨粒が落ちてくる。

それが太陽と絡み合い、やがて虹を作り出す。

『ニノ、綺麗だね…虹。』

俺は相葉さんに掴まって崩れていく膝の力を保った。

それから…

それから知らぬ間につぶやいていた。

「虹…すぐ消えちゃうよね」

『あぁ…うん…だから綺麗なんだよね』

「消えたらそこにあった事も…忘れるでしょ?」

『ニノ?』

「虹みたいに…俺を忘れて」

虹みたいに

消えてなくなりたい。

虹みたいに

あなたに綺麗だと

思われ続けたい。

いつか終わる関係を築くのが

俺にはどうしても

怖くて怖くて…

我慢出来ないみたいなんだ。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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