51

nino’s Book

会社の先輩っぽかったな…

スーツだったし…

気づいた途端に手を離された。

あんなに汗ばんでても離さなかったくせに…。

挙句…友達って言ったよな。まぁ…当たり前か…相葉さん、付き合いたての彼女居るらしいし…なんだこれ?俺、いきなり散々な目に遭ってんじゃん。

あぁ…こういう事?吉高さん…

つまり、こういう感情を…最大限に活用して書きもんにぶつけろって事かな。

てか、俺…いつから騙されてたんだよ。

彼女…居るんじゃん。

俺、何ちょっと本気になって…バカじゃねぇの?

「はぁ…馬鹿馬鹿しい」

ポタポタ…ポタ…

温かい雫が頰を伝って、顎先から滴る。

俺はビックリして、頰を撫でた。

「……んだよ…ハッ…マジで…何なんだよ…」

涙だなんて認めたくなくて、人通りがあるにも関わらず独り言が口を突いてポロポロ溢れた。

パチン パチンと乱暴に頰の涙を手の平で雑に拭う。

拭いても拭いても、ゆるゆると緩んだ涙腺は止まらずに俺を焦らせた。

コートのポケットで携帯が震えている事に気づいて、泣きながらそれを取り出した。

相葉雅紀

画面の文字を見るだけで首筋のキスマークと呼ぶには痛々しいアザが引き攣れるように痛んだ。

携帯をポケットにしまって、そのまま自宅へ向かった。

すれ違う人達が振り返る程には泣いていたんだと思う。

久しぶりに許した心の内に立てられた爪痕は抉れるように痛かったんだ。

どうしてだか、まるまる彼を信じていた。

疑わず、真っ直ぐな彼を。

「ウケんな…俺」

空に放り投げた一言は

ダイレクトに落ちて来て俺の顔面にぶつかった…気がした。

途中、結局人混みに耐えきれずタクシーを拾って家路に着いた。

部屋に入って、すぐにパソコンを立ち上げ、殴り書きのように文字を打った。

頭に住み着いた悪い虫を追い払うようにただ思い付いた単語を叩き出した。

舌打ち

身体

想い

痛み

繋がり

怖がり

間違い

別れ

レモン…

俺が君を好きだったのは

君が俺を好きだと思っていたせいかな。

携帯電話が鳴り響く。

仕事の連絡かもしれない。

でも、君かも知れない。

だったらどんなに辛いだろう。

俺はコートのポケットの携帯に出ないまま、ソファーにコロンと横になった。

膝を抱えて小さく丸くなって溜息を吐いた。

「吉高…責任とれよぉ…」

呟いて、勢いよく立ち上がり冷蔵庫に向かった。

ビールを取り出してプルタブを引くと、口の端からボタボタ溢れる勢いで煽った。

さようなら

相葉さん。

さよなら。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です