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masaki’s Book

居ないなぁ…。

家で仕事してるかも知れないもんな…。

俺は少し肩を落として足早にここへ来たせいで乱れていた息を整えた。

歩いて来た通路を引き返してレモンが並んだ棚までやって来た。

棒立ちで並んだレモンを見下ろす。

鮮やかな黄色で、見ているだけなのに爽やかな清涼感を感じた。

可愛らしいコロンとしたフォルムに笑みが溢れる。

もし…会えたら。

その時だった。

ポンと肩に手がかかって、驚いた俺は肩を跳び上がらせ固まった身体をゆっくり回転させた。

「よっ!相変わらず定時退社だな、サラリーマン」

そこにはいつも通りスウェットにサンダルの和が立っていた。

俺は何だか涙が込み上げて来て、それを我慢するのに必死だった。

和はそんな様子の俺に気づいて、棚から一つレモンを手にする。

「レモン…買ってやろっか?…ふふ」

そう言って首を傾げて見せる。

少し長い前髪が揺れて、琥珀色の瞳が俺を見つめる。

『…良いんですか?』

「あぁ。勿論だよ。」

和は手にしていたカゴにコロンとレモンを放り込んだ。

それから、言ったんだよな。

満面の笑みで…

「雅紀、俺やっぱコタツ欲しい。お前とさ、正月、ミカンとか食いながらゆっくりしたいなぁって。」

俺はもうそこでスッカリ落ちた。

ポッカリ落とし穴があったなら、真っ逆さまに綺麗に落ちた。

和の腕を掴んで返事を返す。

『和…大好きだよ。とっ!突然なんだけどっ!一緒にっ…一緒に暮らしてくれませんか?』

唐突の告白と

止まらない涙と

胸が締め付けられるような愛おしさに

俺は和を腕に抱き寄せていた。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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