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帰り道、一本の傘に二人でおさまりながら歩いた。

一本は翔ちゃんに貸したからだ。

俺達は堂々と肩を抱きながら歩く事が出来た。

傘が一本だから。

雨が強く降るから。

肩を寄せないと…濡れてしまうから。

寄り添いながら2人、同じ事を考えている。

目を合わせて、クスクス笑い合い、傘に隠れて、何度か髪にキスをした。

『そうだ…翔ちゃんがさ…潤くん、不眠症かもって心配してた。あんまり、寝れて無いのかな?』

俺の問いかけに、ニノは俯いて話し出した。

「潤くんさ、ワガママで横暴な感じするだろ?…でも本当は誰より繊細なんだよね。心配性だし、お節介だし、ほんっと…損な性格なんだよ。見た目が派手だから余計にね。最初…俺が相葉さんと上手く行ってなかった時、潤くん邪魔してるようで、本当は相葉さんに焚き付けただけな気がするんだよね。確かに、潤くんも相葉さんが好きだって言ってたんだけど…本当にそうだったのかな…って。相葉さんノンケだし、俺はあんなだったし…潤くんが動いたから何かが変わって行った気がする。…今ね、潤くん凄く幸せそうなんだもん。…たぶん怖いんだよ。俺も潤くんもさ…幸せって…初めてで…怖い。」

幸せが初めて?

俺はニノを見下ろす。

「…何?」

『…幸せは…怖いもんじゃないから』

「…ふふ…確かに。そうだね。」

鼻の頭を指先で掻いて苦笑いしてみせるニノを引き寄せた。

「相葉さんっ!ちょっっ!」

『ちょっとだけ…このまま』

傘を打つ雨音が耳に煩い。

抱きしめた身体が、震えていた。

肩に顔を埋めて、傘を傾け誰にも見えないその空間で、ニノの首筋に唇を寄せた。

ピクンと揺れる身体。

キツく皮膚を吸うと、桜の花弁のように白い肌が色づいた。

「ぁ…相葉さん…」

『……帰ろう。風邪引くと…困るからな』

そう言ってニノの髪をクシャッと掻き上げた。

琥珀色の瞳が、不安そうに揺れてから、小さく頷き、また肩を寄せて歩いた。

雨が

止まない。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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