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何回同じ事を繰り返すんだ!

不安にさせて、守るなんて聞いて呆れる。

ただ、キヨさんが言った俺とニノの血が、はっきりと繋がっていると言う言葉が、やけに鮮明なナイフの形をしていて、身体中が血を拒否するようだった。

吐き出したのは血液なわけもないのに、俺は…

俺は一体何がしたいんだ…

降り止まない雨…

居なくなったニノ…

俺はキヨさんを離れに返して、家を出た。アテもなく暗がりを歩く。

ポケットにしまった携帯は鳴らない。

やめよう、そう言ったニノの顔を思い出して、深い溜息を吐く。

これからどうなるのと、どうするのと…不安を抱いたニノが頭を支配する…。

俺は意気地なしで、こんなにも頼りない。

自分が、こんなにも小さい男だとは思わなかった。

『どこ行ったんだよ…』

口にすると、現状は思ったよりも悲壮感を増していたたまれない気分だ。

翔ちゃんはきっと潤くんといるだろうし…

何より、ニノを傷つけた事を、潤くんに知られるのが怖かった。

卑怯な俺は、逃げ場を探す。

ポケットに入れた手が掴んだ携帯で、頼みの綱を辿る。

コール音は雨音に混じって、やけに汗ばんだ手のひらは握った傘の柄で滑った。

「相葉ちゃん?どうしたぁ」

『あ、あのさ…今から…飲まない?』

暫く沈黙があって、電話の主は呟いた。

「…構わねぇよぉ~…話が…あるんだろ」

と優しく俺を悟した。

俺はその電話をかけた相手、おーちゃんの家に向かう。

おーちゃんは一人暮らし。

画家になる為、アトリエに使える広い場所を探して古い古民家のような家を一軒丸ごと借りている。

雨が小降りになり始めた頃、おーちゃんのうちに到着した。

おーちゃんは何故か家の前でタバコを吹かしていた。

俺に気づいてニヤリと笑うと、指先に挟んだタバコをヒョイと上げ挨拶してくる。

「よぅ」

俺は不思議に思いながらも彼に近づいた。

『おーちゃん家、禁煙だった?雨、さっきまで凄かったよ?いつから外にいたんだよ』

おーちゃんは出来るだけ静かに昔ながらの引き戸をガラガラと開け、俺を中に導いた。

広い土間で傘を立てかけ靴を脱いで中に上がった。

障子を何枚か引き、奥へ進む。

最後の一枚らしき障子の前で、おーちゃんは人差し指を唇に当て、

「しぃ~」

と言って、それを開いた。

中の畳の部屋では、毛布一枚に包まったニノがスヤスヤと寝息を立てて眠っている。驚いた俺は思わず大きな声が出そうになり、おーちゃんに止められた。

『二ッ!』

「しっ!!…少し前にやっと落ち着いて眠ったんだ、起こすんじゃねぇよ」

『っ…なんでここに…』

おーちゃんは俺を見て苦笑いする。

「何でってお前…理由なんて一番分かってんだろ」

その言葉にグッと黙り込んでしまう。

おーちゃんは障子をゆっくり閉めて別の部屋に俺を案内した。

二人向かいあって出された酒を煽る。

「泣いてここへきたんだ。前に潤くんと一緒に来た事があるから覚えてたんだろうな…取り乱してた…聞いても理由言わねぇしよ、参ったよ…」

大体の予想はついているだろうおーちゃんは、俺が話し始めるのを待っているようだった。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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