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夢を見ていた。浅い眠りで、息苦しい湿った夜だった。

腕に抱いた温もり。

同じ血の巡り。

ニノと俺は、夢の中でもきつく抱きしめ合い、眠っていた。

まるで、夢と現実の区別がつかなくなりそうで、俺はまた怖がっていた。

朝、良い香りで目が覚めた。

言葉にならない感覚の夢を見たせいか、夏を前にした気温のせいか、汗で服がしっとり濡れていた。

「大丈夫?汗、凄い」

ニノが目を擦りながら起き上がる。

『あぁ、おーちゃんに着替え、借りようかな』

「うん、それがいいよ。…何か、良い匂いするね」

『これ、多分あれだよ。』

「あれ?」

『おーちゃん、カレー作るのにハマってるって言ってたから』

「へぇ~…凄いね!」

俺はニノを覗き込む。

『カレー作れたら凄いの?』

「ぇ…あ、うん」

「じゃあ俺も作る。』

「ハハ、何それ!」

『だって、ニノに俺も凄いって言って貰いたいじゃん』

布団の上でキュッとニノの腰を引き寄せる。

「相葉さんはカレー作れなくても凄いから良いよ」

『…何が凄いもんかよ…何にもないよ』

「凄いよ…俺の気持ち…何年独占してると思ってんの?」

グイっと胸ぐらを引かれ、琥珀色の瞳と視線がぶつかる。俺は思わず顔を赤面させてしまった。

『朝から煽んなよ。』

「思い知れよ…」

『参りました』

「フフ…ねぇ、相葉さん…好き?」

『…好きだよ…』

額をコツンと合わせキスをしようとした瞬間だった。

パーンと障子が勢いよく開き、そこにはおーちゃんがおたまを持って

「起きろ~っっ!朝飯だ…ぞ…ぉ…ってすまん!」

慌てて背中を向けて出て行こうとするから、二人で必死に止めた。

「てか、豪雨ん中押しかけて来てワーワー泣くは、しみったれた話聞かされるは、挙句人んちで朝からイチャイチャしてんじゃねぇよ」

古びたちゃぶ台に三人分のカレーを並べながらブツブツ文句を言うおーちゃん。

ニノは台所からグラスを出したり、スプーンを用意したりしながらニコニコしている。

俺はおーちゃんから借りた服のシャツのボタンを止めながら苦笑いするしかなかった。

「ッたく!!お前らね!人に迷惑かけないでやれよ!分かったか!」

『「はーい」』

声を揃えてクスクス笑いあう。

三人がちゃぶ台を囲んでいただきますと手をあわせた。

昨日までの雨が上がって、陽が射している。

開けっ広げた庭では大きな紫陽花が雨露に葉を濡らしたままこちらを見ていた。

「今年は長梅雨になるってなぁ」

おーちゃんはスプーンを口に運びながら呟く。

『長いのかぁ…雨は好きじゃないな』

俺が返すと、ニノはただじっと黙って庭の紫陽花を見つめていた。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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