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バイクに跨がり、アクセルをふかしニノを乗せて走り出す。

潤くんが絡んでる事がバレた以上、ニノを置き去りにする事は難しい話だった。

後ろから回る腕がギュッと俺の身体を締め付けニノから、不安を感じる。

俺は今まで聞いた事のない翔ちゃんの声に焦りを感じていた。

翔ちゃんは実家から出て一人暮らしをしている。

チャラ男に見られがちな外見とは裏腹に、真面目で勉強が出来る優等生だ。

ある程度の事なら一人でなんだって片が付く人で、滅多な事では人を頼らない。

根っからの兄貴気質で…

それが助けてなんて…

よっぽど具合が悪い事が起こってるとしか思えない。

綺麗なマンションの地下駐車場にバイクで滑り込んだ。

ニノからメットを預かり、俺は重い気持ちのままエレベーターに乗り込む。

『翔ちゃんは…強い人だと思ってる』

「…うん」

『よっぽどなんじゃないかって…』

「分かってる」

『やっぱりニノは』

「相葉さんっ!大丈夫だから…」

『…分かった。行こう』

俺は最後の制止を聞かないニノを連れて翔ちゃんの部屋の前にやってきた。

インターホンを鳴らすと、バタバタと中から駆けて来る音が聞こえる。よほど慌てているようだった。

ガチャっと開いた玄関扉、スリッパさえ履かず扉を支える顔は真っ青だ。

「雅紀っ!と、とりあえず入ってくれ!ニノっ!一緒に来たのか?!どうしてっ!?」

翔ちゃんは俺の後ろから現れたニノを見て目を見開いた。

『ご、ごめん、一人で来るつもりだったんだけど…バレちゃって』

翔ちゃんはバチンと手の平で顔面を押さえて肩を落とした。

『翔ちゃん…』

「とりあえず…入って」

そう言い終わった翔ちゃんは唇を噛み締めて明らかに困った顔をしていた。

俺はいよいよニノが絡んでいる事を理解して、同じように唇を噛んだ。

中に入って、ブラウンで統一された室内を見渡す。

家の中で変わったところは見当たらなかった。

ソファーに座って、翔ちゃんを見つめる。

翔ちゃんはその視線を感じてか、大きな溜息を長く吐いた。

「はぁー…っあのさ…」

翔ちゃんは言いにくそうに重い口を開く。それをニノが止めた。

「翔さん…俺と…潤くんの事なんでしょ?…俺の事、気にしなくて良いから話して」

ピシャリと言い放ったニノは凛とした顔で翔ちゃんを見据えた。

俺はゴクッと唾を飲み込んでしまう。

シンとした静寂を感じる室内に、翔ちゃんの声がポツリポツリと落ちた。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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