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nino

雨が降ると君を思い出す。

片想いに焦れた青春時代の事だ。

とうの昔に置いて来た筈の恋愛への羨望。

手を繋いで指を絡めて…

君が笑った頰に触れたかった事を、昨日の事のように思い出す。

とは言え…それは俺の甘い妄想。

恋に焦れた青春時代、俺は彼にとって、ただの見知らぬ後輩だった。

その日、どうしてあの街の角を曲がったのか覚えていない。

今となっては、その行動は運命だったなんて…

この考えは、愚かだろうか。

手の平に握った携帯には目を疑うような画面が表示されていた。

LINEのメッセージ

(今度飯でも行こうよ)

「ハッ…夢でも見てんのかな」

額にパチンと手を当て、一人、高架下の真ん中で携帯に言葉を落とす。

メッセージの相手の名前は相葉雅紀。

一つ上の大学時代の先輩。

いつも同じ電車だった。

いつも同じ食堂のランチを頼んだ。

いつも彼を目で追いかけて

いつもストーカーのように指を咥えて彼を遠くから見ていた。

アレは…忘れ難い熱い恋心だった。

勿論、告白どころか彼は俺の存在さえ知らないだろうと思っていた。

彼は見るからに陽の要素しかないのに対して、俺は全くの陰キャだったからだ。

たった5分ほど前の話。

俺はいつも通らない道を使って、人通りの少ない角を曲がり、高架下を抜けようと考えていた。

仕事は面白くないし、プライベートも充実してる訳じゃ無い。俯き加減に曲がった先で、人に体当たりして、俺は見事にすっ転んだ。

ヨレヨレのスーツにお似合いな尻もちを突いてぶつかった相手を見上げる。

そりゃあ…ビックリしたさ。

そこに立って、心配そうな顔で手を差し伸べて来たのは、学生時代、焦がれて止まなかった

相葉雅紀だったんだから。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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