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nino

『大丈夫?ごめんね!立てる?』

相手はサラサラの前髪を揺らし前屈みに俺へ手を伸ばす。

「ぁ…ぁっだっ!大丈夫ですっ!」

その手を取らず、俺は革のカバンを胸に抱き立ち上がった。

あまりの唐突な再会に、一人だけテンパっているのが全身で感じられて居た堪れない。

ペコッと小さく会釈して、その場から逃げるように背を向けた。

『あのっ!』

後ろからする鼻にかかった甘い声に肩が跳ねる。

胸元でギュウっとカバンを抱きしめながら、ゆっくり振り返った。

『人違いだったら、ごめん。もしかして…A大学じゃなかった?』

ドキンと心臓が打たれ、俺は落としていた視線を上げた。

「…はい、そうです…けど…」

まさか…

覚えているはずないんだ。

俺が一方的に好きだっただけ。

接点なんて、なかったも同然なんだから。

『電車!いつも同じだったよね?』

「ぇっ…」

『うん!絶対そうだよね!食堂でも、良く見かけた気がするんだ!どっかでって思ったんだけど…あっ!気持ち悪かったらごめんね!俺の事なんか知らないかな?』

「いっ!いえっ!!あのっ!!」

『ぁ…うん…』

相葉さんはポリポリと頰を掻いた。

「しっ!知ってますっ!あっ!相葉さんですよね?!皆んなっ!皆んなあなたの事ならきっと知ってますよ!」

『アハ…ドジでバカだから有名だった?クフフ』

クシャっと目尻に皺を寄せて笑う。

俺はハッとしていた。

思い出す…あの時の…

恋心。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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