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爆音の音楽。

派手な化粧。

肌を隠さない服。

クラブのDJをしてる友達がタダで入れてやるから来いとお誘いがあった。

まーくん…そろそろ帰ってんな…

でも、俺が居ない事なんてしょっちゅうだし…別に気にもしてないよね。

俺は酒を片手にフロアを歩く。

身体に響く重低音のリズムに、上手くついて行けないくらいには酔っていた。

チカチカギラギラとライトが光る中、誰だか分からない奴と肩がぶつかる。

強く二の腕を引かれて体は紙切れのようにソイツに引き寄せられた。

「なっ!何っ?」

「ぶつかったじゃん、謝れよ」

「はぁ?そんなのそっちだって同じだろ!」

「謝んないの?」

「ここ、踊りに来るとこだよ?肩くらいぶつかるよ!」

グイッと顎を掴まれ上向かされる。

相手の力が強い上に、酒に溺れた身体はいう事を聞かなかった。

「へぇ…可愛い顔してんじゃん」

チカチカ光るライトが男の顔を過ぎるたびに俺はゴクッと唾を飲んだ。

「はっ…ハハ…イケメン…」

俺の呟きを最後に、手を引かれるままに着いて行く。

男はトイレの中にあるゴムの自販機にクシャクシャの札を押し込んでガコンと落下音を聞くなり箱を取り出し個室に入った。

抱き合いながらクスクス笑い合いキスをする。

互いに下半身を弄り合い、気づけばジーンズは膝でたわんでいた。

男が指にはめたゴムの潤滑剤が後ろの滑りを良くして良いところをなぞる。

気づけばしっかりバックから頂かれて大満足だった。

男は事が済むと先にトイレを出て行った。

俺は酔っ払った身体が重くて便座に座り込んでしまう。

「はぁ~…ほんっと俺ってどうしょうもないな…マジで便所だわ…」

見上げた蛍光灯が、馬鹿みたいにフロアの照明の真似事をしてチカチカしていた。

それはあまりに滑稽で、滑稽過ぎて笑えなかった。

真面目を絵に描いたように育てられた俺が、両親の重圧と無関心に耐えきれず、悪い不良の真似をして気を引こうとしたあの頃を思い出す。

喧嘩は弱いし、泥棒も出来そうにない。

真似られたのは、下の緩い生活だけだ。

蛍光灯はフロアのレーザーにはなれない。いずれ切れて光らなくなるだろう。

俺も…

今に同じように偽物だと気付くんだ。

トイレの扉を開いて、ふらふらしながらクラブを出た。

一体何がしたいんだって?

そんなの俺が、一番知りたい。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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