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途中、喉が渇いてコンビニに寄った。

ポケットには小銭しかなくて、引きずり出したら15円だった。

「くっ!…ククッアハハハ!ほんっとゴミっ!ゴミ以下っ!!…ゴミぃ……マジで最低かよ…まーくん…まーくん…助けてよぉ…」

もう歩けなかった。

情けなくて、情けなくて、考えたら、やっぱり情けなくて…歩けなかった。

俺はコンビニの駐車場の車輪止めに座って携帯を鳴らしていた。

暗闇の向こう側から人の気配。

『ハァッ…ハァッ…ハァッ…ニノっ!』

ただでさえ汗かきのまーくんが真夜中の歩道を駆けてきた。

膝に手をついて屈み、車輪止めにちょこんと座る俺を見下ろす。

腕で額の汗を拭って、真っ直ぐ立つと、俺に手を差し出した。

『ニノ、そんなとこ座ってちゃ汚れちゃうよ、ホラ』

「あぁ…うん…自分で立てるよ」

『…そっか…外だもんな、ごめん』

まーくんは少し悲しそうに視線を逸らし、出した手をスウェットのポケットにしまった。

「あのさ…お茶…買うお金なくて…」

『…うん…待ってて』

まーくんは一人コンビニに入り、すぐに出て来ると、袋からホットとアイスのお茶を出してどっち?と聞いた。

俺はあったかい方を手にして、冷たい方を汗だくだったまーくんに渡した。

二人で並んでお茶を飲みながら歩く。

「ごめんね、夜中に…」

しおらしく上目遣いにまーくんを見つめたけど、まーくんはこっちを見なかった。

「まーくん…?…怒ってる?…よね」

まーくんは無言で首を左右に振った。

それから、小さな声で呟いた。

『ニノが…好きなんだ』

それは告白と言うより、寧ろ独り言みたいで、俺はなんて返事をするのが良いのか分からなかった。

ボロいハイツに銀色の鍵。

開けるのはまーくんで、先に入るのは俺。

自分の家でもないのに、この家の香りを嗅ぐだけで、何だかホッとしていた。

『シャワー浴びておいで。一緒に寝よう』

俺はまーくんの言う通りにシャワーを浴びてベッドに入る。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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