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masaki

ニノが出て行ってから、寝室のシーツを撫でた。

そこに居た温度は確かなもんだから、余計に堪える。

翔先輩の別れろの助言が、俺の中で何となく形になり始めている気がして苦笑いが漏れた。

苦しいから…

この苦しさから逃げたい自分がいたからだ。

大学の友人と講義の後、カフェに居た。

大学ではかなりの有名人、松本潤とランチタイム。

『松潤とランチすると、他人の視線が突き刺さるよ』

「はぁ?何それ。」

『だってさ、こないだ、あのファッション誌、出てただろ?あんな有名な雑誌、誰がどう聞いたって凄いじゃん!』

「あぁ…あれはたまたま街歩いてたらスナップで」

『たまたまで普通は載らないよ。あんな半ページ丸々ドドーンと使って、ただのスナップ写真なわけないだろ!』

「ハハ、まぁ…名刺くらいは貰った」

ジーっと睨みをきかす。

「あぁもう!次の仕事も貰ったよ!来月号!モデルでちょっと使って貰えるんだって」

ついに全貌を白状した松潤は頬杖をついてホットコーヒーのカップを手にした。

そんな姿がいちいち絵になる。

『やっぱりなぁ~!さすがっつーか…大学生謳歌してるよなぁ~』

「何、相葉くんはしてないみたいに言うじゃん。恋人と上手くいってないの?」

“恋人”

実際にSEXもするし、同じ家に住んでる。

だけど…俺はニノの恋人じゃないのかも知れない。

翔先輩が言う、俺が養ってるヒモだとしたら…

依存だと言うのが…本当だったら…

「…くん!…相葉くんっ!」

『えっ!あっ!ごめんっ!何?!』

最近こんなやりとりが増えたなと自嘲気味た笑みが漏れた。

肩を竦めた松潤は人差し指の指先でコンコンとテーブルを鳴らして言った。

「相葉くんてさ、素直でわかりやすいから言うけど…もうダメなんじゃない?顔色、悪いよ」

ペチッと音を立てて手の平を頬に当てた。

『マジで言ってる?それ、翔先輩にも言われたよ』

「ほら、その顔ね…愛想笑い通り越してなんか悲壮感漂っちゃってるもん」

『そ、そうかな…そんな頑張っては…』

松潤は頬杖をつき、コテンと首を傾げて言った。

「そんなになるまで頑張っちゃうなんて、よっぽど良い女なんだな」

『ぁ…ぁあ…まぁ…そうだね…うん……うん』

「相葉くん?」

テーブルの上で組んでいた手にパタパタ涙が落ちた。

気づいたら止められなくて、松潤が慌てる。

『ぅわぁ、マジごめん!何だろ、疲れちゃってんのかな、ハハ』

ニノが朝、どこへ出て行ったか知りたい。

ニノが今、どうしているか知りたい。

俺ばっかり好きで苦しい。

ニノはあんなに辛そうなのに、俺じゃ何の助けにもならない。

松潤は向かいの席で、俺の言葉を聞いて、疲れてるなんて、そうじゃ無いだろと言わんばかりに苦笑いした。

でも、疲れてるのは嘘じゃないんだ。

ただ、これをニノのせいだと、思いたくなかった。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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