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「ぅゔ…っ痛!…あっ相葉くんっ!!」

頭がズキンと痛んだけど、反射的に飛び起きた。

温かいベッドの上…ここ…丘の上の家?

相葉くんっ!相葉くんはっ!!

コンコン

扉をノックする音がして、開いた先に相葉くんが立っていた。

俺は慌ててベッドから下りて駆け寄る。

「相葉くんっ!」

彼の胸元にしがみつくように飛びついた。

目を離したらまたどこかへ行ってしまう気がしたからだ。

『そんなに名前を呼ばなくても…ちゃんと側に居ますよ』

相葉くんの腰に腕を回して抱きついた。

「嘘つき…キミは…居なくなるじゃないか」

『こんなにおてんばな人だとは思ってませんでしたよ。俺を追って中間区を翼で動き回るなんて。パトロール隊は骨の一本や二本簡単にへし折る怪力集団です。…危険な真似はしないでください。ニノに何かあったら…俺は犯罪者になりかねません。…膝の傷…大丈夫ですか?」

そう言いながら、相葉くんは優しく俺の頭を引き寄せた。

「…うん…何ともないよ…相葉くん…」

小さなため息が降ってきた。

その後、ヒョイと俺を横抱きにしてベッドへ連れ戻す。

相葉くんはベッドの隣に置かれた小さな丸い木の椅子に腰を下ろして、俺の膝を枕にするみたいに頰を寝かせた。

上半身をベッドヘッドにもたれかけて、相葉くんの髪を撫でた。

「話して欲しいんだ…」

相葉くんは寝かしていた頰の向きを変え、俺を上目遣いに見上げて来た。

それから、ゆっくり目を閉じて、髪を撫でる俺の手を取ると、まるで赤ん坊のようにその指に唇を寄せた。

「相葉くん…」

『俺が死んだのは、17の時です。…雨が降っていました。両親に呼び出され、待ち合わせ場所に急ぎました。港のコンビナート付近の一角で…おかしいとは感じていたんです。傘をさしていて…視界が悪かった…でも、俺は覚えています。車のヘッドライトが眩しくて、片目を閉じながら見たんです。フロントガラスから見える両親の悪魔のような笑顔を。車は真っ直ぐ俺に向かって来た。それから…俺を…2度、3度としっかり…。元々おかしな家族でしたから、借金まみれだったせいで保険金目当てに殺されたんだと知った時は納得しました。…何だかやっと解放されたような気もしたんですよ…。俺はやっと…本当に愛がある場所を探せるんだって。結構、前向きだったんです!これでも、ポジティブだけが取り柄で。でも、心の傷は隠せているはずなのに、身体が俺を裏切った。ポジティブでもなんでも無い。…誰でも受け入れるつもりだったのに、そこに運命を感じる愛がないと分かると、羽を維持する番い行為が苦しくて身体が拒否反応を起こした。大丈夫だなんて嘘だった。…俺は弱かった。二度と…偽物なんて要らない。身体がそう叫ぶんです。』

俺は相葉くんの話に息が浅くなるようだった。

息子を?借金があったから?お金の為に?

二度三度だって?

最後に見た両親はハンドルを握りながら、笑っていたって?

込み上げる嘔吐感を堪えた。

『ニノと番いになれた時から…俺、色が付いて見えるんですよ…』

「色?」

彼を覗くと、恥ずかしそうに赤らめた顔で微笑んだ。

『景色も、人も、無機質なカップ一つでさえ…淡く柔らかな色がね…』

その表情と言葉にキュッと唇を噛み締める。

『ニノを失くしたくありません。』

相葉くんが顔色を変えて呟いた。

「どういう事?俺はっ!」

『俺が勝手にした事なんです。…シャンティには…莫大な借金があります。5年前の俺の翼を機能させる為の薬代。そして、5年間、運命の番いを見つけられなかった俺は、仕事をこなす為にも必要だった精子の入ったカプセル代がかさみました。嵐の稼ぎは数あるチームの中でも上位クラスです。翔くんや松潤がハイスピードで仕事を片付けてくれますから。俺は足を引っ張ってばかりでした。番いを持てない。その分仕事量も半分になるからです。…俺はヤケになって、カプセルを乱用した時期があるんです…飢えに我慢出来なかった。仕事をすれば飢えがくる。カプセルを買う…借金は膨れて、もう頭がラリってる時に、シャンティのボスから提案されたんですよ…。』

相葉くんは俺の膝から起き上がり、膝の上で指先を組んで俯いた。

『シャンティなら何でも揃う…お代は後から…あんな恐ろしい歌はありません。タダより怖い物なんてなかったんですよね…払えないなら、身体を売れと言われました。提案の一つは、この際、存在消滅。翼と身体を切り刻み、薬を作る材料にする。もう一つはささやかな拒否反応に耐えながら生きて薬の素になる精子の提供をする。俺は後者を選びました。下界でも中間区でも金が全てでした。嵐の稼ぎは良かったんです。それでも、足りなかった。でも…やっとあなたと会えた。運命の番いに…。でも…ある日、シャンティのボスが言ったんです。』

相葉くんは途端に震えだした。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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