65

俺は相葉くんから夕飯を食べながら借金の話を全て聞いた。

その額は確かに途方もない金額で、軽く目眩がしたのは言うまでもないのだけど、やってやれない事はない。

何だか訳の分からない自信がみなぎっていた。

下界に居た頃の趣味は貯金だ。

慎ましく暮らす事に何の抵抗もない。

タイミング良くと言うべきか、夕飯後の団欒時間に客人がやってきた。

翔くんと松潤だ。

二人にコーヒーを差し出しながら、こんな雪深い中どうしたのか尋ねた。

「どうやら、二人の翼を見る限り、お前ら自身の事は心配要らないようだな。」

俺と相葉くんは顔を見合わせて、少し頰を赤らめた。

誰がどう見たって濃厚に何度も交わったであろう艶と香りが部屋中に満ちていたせいだ。

「翔くん!何かコイツらデレデレしててウザイんだけどっ!サッサと渡して帰ろうぜっ!」

松潤はバサッと翼をひと仰ぎして甘い香りをかき消すように振る舞う。

翔くんはそんな松潤を視界に入れ不敵に微笑み、銀縁の眼鏡を指の関節で軽く押し上げた。

「潤が渡しても良いんだよ?」

いじめるようにニヤニヤと呟く翔くんに、松潤は腕組みしながら長い足を組み替えた。

「俺は良いっ!さっさと渡せってば!」

松潤はどうやら俺たちに何か渡したいらしい。

ソワソワしている姿が子供のようで愛らしかった。

翔くんはジャケットの内ポケットから封筒を取り出す。

「潤がそう言うんじゃ仕方ない。では俺から」

テーブルにスッと突き出された封筒には、蝋を垂らした封印がされている。

スタンプは紋章になっていて、格式高い風貌だ。

俺はチラッと相葉くんを盗み見た。

相葉くんは眉間に皺を寄せながら封筒を手にした。

『コレは…ボスからですよね?』

「あぁ…宮殿からの電報だ。中を確認すると良い」

相葉くんは立ち上がりペーパーナイフを手にソファーに戻ってきた。

俺のとなりに座り、封筒にナイフを入れる。

パカッと中を開き一枚の紙切れを取り出した。

相葉くんは無言でその便箋を見つめている。

「相葉くん…大丈夫?何?」

話しかけると、手にしていた便箋を俺に突き出した。

ぎこちなく微笑み頷く。

どうやら読んで良いという事らしい。

俺は手にした便箋の文字に目をやる。

“相葉くん

運命の番いが見つかりようやく稼ぎが軌道に乗るだろう。随分と長かったに違いない。

ここからは、おまえの苦しみを加味した上での話をしよう。

シャンティの借金は俺が肩代わりしてやる。

俺の可愛いニノが苦しんでると聞いた。

おまえが番いを解消したくなったらすぐに受け皿として俺が頂くつもりだ。

返済は月の支給額からさっぴくとする。

不満があれば宮殿に来い。”

俺は便箋から向かいのソファーに座る翔くんの顔を見た。

「ニノに相談されてから、何度か情報屋を潰して歩いた。上田もゲロったしな。相葉くんはシャンティで闇商売に手を貸してる事が分かって…亀に掛け合ったが、向こうは商品を提供しているわけだ。悪いのは支払いが追いつかないこちらにあるもんだから、ボスに話した。」

翔くんは前屈みになり、膝に肘を突いて組んだ指先をピンと立てて、俺を指した。

「ニノ…随分とボスに気に入られてる。正直、ラッキーだと思え。チームの長でも、プライベートは大概介入しないもんだ。特にうちのボスは興味がない事には無関心だしな。」

俺は顎を引いて肩を竦めた。

「何かした覚えはないけど…」

相葉くんを見ると、彼は複雑な表情で首を傾げた。

『う~ん…ボス…ニノが好きなのかも知れませんね』

苦笑いした相葉くんが呟いた。

          

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です