73 最終回

俺達は宮殿を後にした。

相葉くんは手にした二枚の白い羽根と黒い羽根をクルクル回して不思議そうな顔をしたままだ。

「プレゼントなのに…シャンティに持ってけって…それ、何かの引換券みたいなもんなのかな?」

『さぁ…分かりません。あの人…ボスは良く分からない少し変わった方ですからね。大体は寝ているようですし、突然居なくなったと思ったら下界で釣りをしていた事もあります。あの時は捜索に3日もかかって大変でした…』

「あぁ~…そぅ…」

俺は思わず引き攣ってしまう。

確かに良く分からん人ではある。

ただ、妙に和むあの笑顔…嵐のメンバーが全員彼をボスだと認めている何かを持っている。

確かに不思議な人だよな…。

俺と相葉くんは二枚の大きな羽根を手に、朝訪れたシャンティを再度訪れた。

そう何度も足を運びたい場所ではないだけに、肩が縮こまる。

紅色、提灯、灯籠、鈴の音、昼間でも湿度の高い雨上がりのような薄暗い街。

細い通りを抜けて、シャンティにたどり着く。

『ごめんください!すみませぇ~ん!』

「入れ…奥だ」

奥の引き戸から声がして顔を見合わせて頷きあう。

『ニノ…行きましょう』

「うん!」

二人で中に入ると、シャンティの三人は中丸を囲うように固まって座敷でお戯れの最中だった。

まだ着物は着てるから良かった…

コイツら仲良すぎだろ…

心で呟きながら亀に目を向けた。

「ほぉ~…」

亀は目を輝かせ相葉くんの手にある羽根を見つめた。

『あの…コレ…』

相葉くんが羽根を差し出すと、シャラランっと美しい鈴音が鳴り、店内の蝋燭の火がボッと音を立てて大きくなった。

三人の羽根も興奮で大きく開いている。

その翼は薄い桜色をしていて、着物や格子、店内の色彩と重なるように戯れ、あまりに美しい絵だった。

そんなあんまりに綺麗な絵面に見惚れていると、亀が相葉くんから受け取った羽根に舌を這わせニヤリと微笑んで言った。

「こりゃ、お前のモンか?」

『はい…誕生日に…プレゼントして頂いて』

「という事は、コイツは正真正銘、お前さんのモンだな。借金はコイツでお前さんからの支払い。チャラにしてやろう。お前は自由になれる。全額だ!喜べ!」

『ぜ、全額っ?!』

「あぁ、そっちの琥珀色の目ぇした番いの翼代込みだ!コイツを置いて行きな!」

俺は相葉くんの腕を掴む。

相葉くんは俯いてボソボソ呟いた。

『最初から…こうする気だったんだ』

「え?どういう事?」

『ボスは…最初から肩代わりするんじゃなくて…俺自身で返済させる気だったんだ』

「それって…」

シャンティの亀がキセルをふかしニヤニヤと呟いた。

「良い親方をお持ちだな。恐らく、お前達がチーム内で、肩代わりしてもらったという肩身の狭い思いをさせたくなかったんだろうよ。粋だねぇ…プレゼントされたもんはお前の物だからなぁ。支払いはお前自身がしたって訳だ。親方は何にもしちゃいない。こりゃ粋だ!」

カンカンッと派手にキセルを灰入れに打ち付ける。

相葉くんは俯いて…震えていた。

『どこまで優しい人なんだょ…俺なんかの…為に…こんな芝居まで打って…』

俺は相葉くんを抱きしめる。

亀が両サイドの二人を引き寄せ言った。

「俺なんかと言っちゃいけねぇなぁ…仲間は宝だ。俺だって、中丸や上田に何かありゃ黙っちゃいないぜ?コイツらは俺の命…大野にとっちゃ、お前らは仲間で、宝で、命だ。俺なんかという前に、アイツに恥じない働きをしろ。さぁさぁさぁ!暫くお前さん達と会う事も無くなりそうで残念だがな、用件がない客はとっとと帰りな。俺たちゃ日々忙しい。

あぁ…ただし…また何か入り用ならいつでも寄ってきな。♪シャンティなら何でも揃う…お代は後から…♪毎度ありぃ~」

クスクス

クスクス

リリン シャラン リリン…

三人の妖艶な笑い声、鈴音…

俺は相葉くんにしがみつきながら泣いていた。

相葉くんも泣いていた。

シャンティを出て二人抱きしめ合う。

「俺、シャンティ嫌いだったの」

『くふふ…俺もです』

「でも…今は好きかも」

『ふふ…同じ事を思ってました。』

「明日から…仕事…頑張ろうね」

相葉くんを見上げると、ヒョイと腰を掴まれ高く抱き上げられた。

「ぅわあっ!ちょっ!相葉くんっ!」

『俺、頑張ります!頑張って、頑張って、ニノと沢山笑いたい!』

ストンと降ろされ、俺はギュっと彼に抱きついた。

「魂にさ…こんにちはを繰り返して…色んな形を見て、笑ったり、泣いちゃったりするんだけど…俺達にはまた明日があってさ、それはずっと続いて行くんだよね?」

相葉くんの胸元に語りかける。

大きな手のひらが俺の髪を撫でてくれて、目を合わすと

彼は呟いた。

『ずっと続いて行きます…ずっとニノと』

「相葉くんと」

『「嵐で」』

二人で

嵐で

こんにちはまた明日

          

END

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

4 Comments

  1. ninonさん、はじめまして(^^)
    そして、お疲れさまでした!ninonさんの描く世界観がとても好きで、いつもドキドキハラハラしています❤作家さんにとっては、毎日の更新が大変だと思いますが、本当に毎日楽しみにしてました。私の癒しです!ありがとうございました。
    贅沢な話ですが、いつか相葉くんsideも少しでもいいから読みたいと思ってしまったりしています…。ニノちゃんに会った時のドキドキを考えると、私までドキドキします✨
    ゆっくりで構いませんので、次回作も楽しみにしています!

    まめじゅん
    1. おはようございます!
      最後までお付き合い頂きありがとうございました(*´∇`)ノ 
      感想凄く嬉しいです!
      こちらはのんびり更新ですが、どうぞ気長にお付き合い頂けたら幸いです♡
      相葉くんサイド、また機会がありましたら是非♡
      次回作もどうぞ宜しくお願いします!

      ninon
      1. お返事ありがとうございます!
        実はアメブロの方で読ませていただいているんです。でも、アメブロをしていないのでコメントも出来ず…。みなさんのコメントを読んでいたらninonさんにどうしてもお礼が伝えたくてこちらでコメントさせていただきました。
        次回作も気長に楽しみにしています!

        まめじゅん
        1. amebloに来て下さってたんですね(*≧艸≦)ありがとうございます!
          引き続き宜しくお願いしますねぇ〜!

          ninon

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