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『今日は出勤しますよね?』

ベッドのへりに座って汚れたトレーナーを頭から被りながら呟く。

返事がないから振り向くと、二宮さんは美味そうにタバコを吸って携帯でゲームをしている。

ジーンズに足を通し、ベルトのバックルを締めながら立ち上がった。

『飯…何か作りましょうか?』

ゲームをする二宮さんはタバコを挟んだ方の手をヒョイと仰ぎ

「食器がないから…いいよ」

とゲームに夢中だ。

俺は二宮さんの集中を利用して寝室を出て行くと、食器がどうなったか気になりキッチンへ向かった。

食器棚を見て…

俺は口を押さえた。

割れたガラクタ達が

ひしめき合って形を取り戻す筈もないのに…

ソコに並べられていたからだ。

『…に…何やってんだよっ!!二宮さんっ!二宮さんっ!!』

怒鳴るように名前を呼びながら寝室に戻る。

二宮さんは相変わらず携帯ゲームに夢中で、俺は興奮し過ぎて、その携帯を彼の手から奪い取った。

「ちょっ!今良いとこだったのにっ!」

胡座をかいた膝に枕を机代わりに置いてゲームをしていた二宮さんは、ボスッと枕に両手を叩きつけた。

『あんた何やってんだよっ!』

「はぁ?お前こそ何興奮してんだよ」

『食器だよっ!!何でっ!アレ全部っ!割れてんでしょうがっ!!』

捲し立てる俺を見て、二宮さんはクスっと笑った。

「あぁ…アレな…フフ…確かに、割れてんなぁ…」

ふと眉を困った風にハの字にして、遠くを見るように目を細めた二宮さん。

その表情には確実に雅さんが宿っていて、俺はグッと拳を握りしめた。

唇を噛んで二宮さんを睨みつける。

『危ないですから…片付けますよ?』

「あぁ…いいよ、捨てに行くのも面倒だし、あのままで構わない」

『面倒なら俺が捨てておきますからっ…だから…片付けさせて下さい』

二宮さんはベッドにコテンと横になり、枕を抱えながら呟いた。

「相葉さん…何でそんな食器に拘んのよ」

不思議そうに聞いてくるのが腹立たしくて、俺はまた声を荒げてしまう。

『あんたが拘ってるからだろっ!!俺じゃないっ!!あんただよっ!』

二宮さんはジッと俺を見つめ、親指で自分の唇を撫でながら訝しんだ表情で言った。

「…何を聞いた?誰だ…」

俺はハッと我に返り、俯いた。

「相葉さんは俺の犬だよね?…犬が…余計な事に首突っ込まないでくれる?」

『ちがっ!俺はっ!』

「ちがわねぇよっ!!ちょっとS.exしたからって何のつもりだよっ!出て行けっ!!お前なんかっ!出て行けっ!!」

バフッ!と枕を投げつけられて、俺は唾を飲み込んだ。

知らぬ間にどんどん渇く喉が引き攣るせいだ。

バクンバクンと悲鳴をあげるように胸が動揺していた。

キッと俺を睨みつけた琥珀色の瞳が哀しみで溢れそうに揺れている。

その瞳を抱きしめてしまいたい俺と、二宮さんを怖いと思う俺が交錯して、歪み、身体が動かない。

「出て行けっ!」

最後だと言わんばかりの忠告に俺は後退り、寝室を出た。

投稿者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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