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夕方になり、ヨコと店に入る。

おしぼりの配達のお兄ちゃんがそろそろ来る頃。

「ちぃーすっ!ここ置いときますよ~」

チラッと覗いた金髪にニッコリ微笑み

『ありがとう』

と返事を返す。

彼は軽く会釈して、店を出ると、汚れたトラックに乗り込み配達の続きに出て行く。

俺はそれを見送るように眺めて、カゴに入ったおしぼりを抱え上げた。

ホットキャビの前まで持って来て、それを中に詰めていく。

ヨコはカウンターでグラスを拭きながら、俺に言った。

「相葉ちゃん…大丈夫か?」

『あぁ…うん、大丈夫。ごめんね、心配かけて。』

「…今日は、二宮さん出勤したらええな」

『…うん』

俺は各テーブルに置く灰皿を抱えて、小さく返事を返した。

ゆらゆら揺れながら落ちて行く二宮さんの夢を見たせいだろうか。

あの人に会えない気がして、胸が苦しかった。

今こうしている瞬間でさえ、会いたい衝動を抑えがたい。

くだらないと笑って欲しい。

犬だと言って、お手を催促すれば良い。

悪戯をする子供みたいに琥珀色の瞳を揺らして欲しい。

「相葉ちゃん…相葉ちゃんっ」

『えっ?ぁ…ごめん…』

「ハァ…そんな状態でおったらミスするで。しゃっきりせな!」

『うん…うん、そうだね…ぁ…ごめんっ!ヨコ!電話っ』

「出ておいでや」

『うんっ!!』

俺はポケットで揺れる携帯を引き摺り出し、慌てて店の裏口から外へ出た。

投稿者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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