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松岡さんが腕まくりしていたニットを下ろしながらリビングのテーブルに転がった注射器をコンコンと指で弾いた。

「こいつは持って帰るぞ…起きたらまだ傷が痛む筈だ…こっちの点滴置いて行くわ。また様子見に来るけど…コレはやめさせろよ。次はこんなじゃ済まなくなる」

注射器をプラプラさせた後、鞄にそれをしまうと松岡さんは立ち上がった。

「ありがとうございました」

櫻井さんが頭を下げる。

松岡さんはポンと櫻井さんの肩を叩いて

「滝沢には連絡しとくわ。あ、兄ちゃん、目離すなよ。暫くは一人にされちゃ困る。じゃ、俺はこれで」

俺に一言申し付け、櫻井さんに向かって会釈をすると、部屋を出て行った。

ヨコは肩の力が抜けたみたいにダイニングテーブルの椅子にドサッと座り込んだ。

「マジでビビったわぁ…相葉ちゃん…大丈夫か?」

『うん…いや…うん…』

答えにならない返事をして俯いた。

櫻井さんが歩み寄ってくると、俺を引き寄せ背中を撫でてくれる。

耳元で聞き慣れた声が呟いた。

「お前に、随分と重い荷物背負わせちまったかな…今日は俺が付いてるよ。だからお前はかえ」

『帰りませんっ!!俺はっ!!…ちょっと…驚いただけですから…荷物とか…言わないで下さい。俺は大丈夫です…大丈夫ですから』

小さな溜息が聞こえて、櫻井さんは俺の髪をわしゃわしゃとかき混ぜた。

『さ、櫻井さんっ』

「ありがとう…じゃ…ニノはおまえに頼んだ」

『…はい』

「あ、そうや、滝沢さんが給料は心配すんなって…二宮さんの側にって言うてはったから」

俺はヨコから櫻井さんに視線をやる。

櫻井さんは俺に頷いて見せる。

「ニノの世話も仕事のうちだ。何か入り用なら連絡しろ。ヨコに動いて貰うよ」

「相葉ちゃん!何でも言うてや!」

もう一度ヨコと目を合わせ、俺も小さく頷いた。

投稿者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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