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やっとの思いで校門を出た。

放課後になってもすんなり帰れず、先生に頼まれごとをされたりして、明日のプリントをコピーしたり、ホッチキスで部数通り留めていく作業に追われた。これに関しては時給を払って欲しかったくらいだ。

こんなに遅くなる予定じゃなかったんだから。

少し小走りでバス停までを急いだ。

考えてみれば…

俺は相葉さんと何かを約束しているわけでも、ましてや、待ち合わせをしているわけでもない。

それに気づいてからは足が次第にゆっくりと落ち着きを取り戻した。

居たらいいよね?

そう…それくらいのもんだよ。

俺は一体

誰に言い訳をしているんだろう。

苦笑いして顔を上げたら…

バス停に…

相葉さんが座ってるのが見えた。

長い足を組んで…今日は眼鏡をしていない。

手元にはしっかりいつもの文庫本。

俺はそこで気付くべきだったのかな…

こんなに大事そうに本を読む人が…

どうしていつも…同じページにしおりを挟んでいるのかを…。

読み進まない、その不可解さを…。

『やぁやぁ…元気…かい?』

「…」

俺は無言で俯いた。

『こっちへ…おいで。』

優しい声に惹き寄せられてバス停の長椅子に腰を下ろす。

『何かあった?』

身体がまた徐々に重くなるのを感じた。

相葉さんの冷たい手のひらが俺の背をさすった。

「相葉さん…」

『ん?』

「…あぁ…しつこくしてごめんね、あの…和って人とは…別れちゃったの?」

相葉さんは俺の背をさする手を止めた。

まるで氷みたいに…冷たい。

『和とは…うん…そうだね。今はね…別れてしまったのかな…うん…俺がここに居るから…きっとそう思ってるだろうな…』

相葉さんはよく分からない事を言いながら陽の傾いた空を見上げた。

「そう思ってる?…じゃ、違うの?」

俺はどうしてこんなに食いついたんだろう…

相葉さんの事が気になって仕方なかった。

相葉さんは驚くほど悲しい顔を俺に向けた。

投稿者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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