絶対に

絶対にバレたりしたら

俺はきっと

これから先、生きていける自信が微塵もない。

側に居られなくなるくらいなら、この距離でいつまでだって隣で居る方を選ぶ…。

『ニノ!』

局の廊下、向こう側から声がする。

楽屋へ戻ろうとしてドアノブに手をかけた俺はゆっくり振り向く。

「相葉さんどこ行ってたの?」

『今日さ、マイボトル忘れちゃったからクフフ、お茶買いに自販機』

「相葉さんほんっとに健康的ね」

『ニノもコーヒーばっか飲んでちゃダメだよ~』

「はいはーい」

怠そうに片手を振って生返事する。

『全然聞いてないし!クフフ』

そのままダラっと会話しながら2人楽屋に入ると、いつもの局のいつもの定位置に3人のメンバーが揃ってる。

翔ちゃんは新聞

Jは今ハマってる現代アートの分厚い本

大野さんは電池が切れたかのように眠ってるし。

俺といえばおきまりのゲーム

と、その前に相葉さんにいつもの漫画を手渡す。

こんなもんであなたとの繋がりがもっと強くなるように…なんて全く悟らせない演技で無愛想にホラっと押し付ける。

『ニノ、もう読んだの?いっつも超早くない?』

「あ~、俺家から出る用事ないしさ。買ったらすぐ読み終わるんですよ。引きこもりは暇で時間だけはあるんです」

俺は本当に嘘つきだ。

相葉さんの為に書店かコンビニに駆け込んで、時間みっちりの仕事が詰まったタイムスケジュールの合間にまるで台本を叩き込むみたいに慌ただしく読み進め、あなたがいつも読む掲載に折り目をつけて、手渡す日を今か今かと待ってる。

嬉しそうに笑うクシャっとした顔が見たくて。

俺はそんな汚い想いの為だけに、あなたに近づいてるんだ。

だけどそれくらい許してよ。

俺はこれ以上踏み込むつもりはないんだから…

そんな風に思ってたら、相葉さんがふわっと笑って俺を見つめる。

「な、なんだよ?」 

『ニノ、最近ドラマも映画の番宣もあってめちゃくちゃ忙しいじゃん、ありがとね』

相葉さんは優しい。

俺にだからじゃない。皆んなに優しいんだ。

たまにそれが俺の中で勘違いみたいに都合よく働いて、まるで毒みたいにゆっくり身体に染み込んで…

カッと赤くなってるだろう耳を自覚しながらも照れ隠しに軽口を叩いてしまう。

「相葉さん、そう思うなら多忙なワタシにご飯奢ってくれていいんですよぉ。本のお礼ならいつでも受け取りますからンフフ」

『あー!そーやってお前はすぐ俺に奢らそうとすんだろ~…あ!そういえばさ、松潤がこないだ行った居酒屋さん凄い良かったんだよね?』

Jは読んでいた本をスッと膝に下ろすと脚を組み替えて

「良かったよ!行くなら個室連絡するから言ってよ」

『ニノこの後は?』

「あ~、今日は後ないわ」

『俺行ってみたいと思ってたんだ!ニノ行こうよ』

「あ、うん」

『よっしゃ、決定~松潤予約宜しく!あ、松潤も一緒にどう?』

「俺、後、詰まってんだよね。また今度!個室はおさえとくな」

ってたまにこんな風にうまい具合に事が運ぶ。

俺にとっちゃ、これはご褒美。

俺と真逆の行動力ある相葉さんはキラキラ眩しい。

俺みたいに冒険をしない奴からしたら、ただの憧れの象徴みたいな人だ。

どうしたら、そんな向日葵みたいにキラキラすんだろ。

俺には無い、相葉さんのキラキラ。

どうしょうもなく眩しい。

俺は気づかれないようにフッと目を細めてキラキラを瞼に焼き付けた。

ちょうど仕事が始まる合図

楽屋をノックされ出番を告げられる。

5人がそれぞれに立ち上がりスタジオに向かった。

これが俺の日常で、それはこれからもずっと同じように繰り返すと思ってた。

そう思ってたんだよ。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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