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昼休みの後の5限。

体育で昼食のうどんが色んなところから出そうになりながらバスケットにいそしむ。

バスケット部の奴らが一際目立って良いところを披露する中、ヨロヨロになりながら後を追う程度に力を抜く。

元々は運動神経は悪くない。だけど、いつも全力で挑めない。

ひねくれ者だとか、天邪鬼だとか…勘違いの目は沢山浴びてきたけど、潤くんはそんな俺を分かっているし、俺もわざわざそんな噂を弁解するつもりはなかった。

本気は疲れる。

ここといったところで本領発揮出来れば十分だ。

こういう少し冷めたところが、良くないなんて自分でも百も承知だった。

チャイムが鳴って、ザンッと最後のシュートがバスケのネットを揺らして音を立てる。

ピピーっっと先生の笛が鳴って、ボールはそのまま体育館の床を転がった。

潤くんが汗だくで歩みよってくる。

「足、大丈夫そうじゃん」

「あ、うん!治ったかも。ごめんね、心配かけて。」

「ハイハイ。ニノの仮病は今に始まった事じゃないしな。着替えに行こうぜ」

潤くんが首の後ろで腕を組んで呆れた口調で歩き出した。

更衣室へ向かう途中、廊下の向こうから白衣を靡かせた相葉先生が近づいて来ていた。

真っ直ぐに、視線は俯き加減で。

俺は酷く緊張して、同じように俯きながら歩いた。

潤くんは陽気にさっきの体育での自分の活躍を話し続けている。

すれ違う瞬間、我慢出来なくなっていた俺は顔を上げ、相葉先生の表情を伺っていた。

あの時と同じ笑み…。俺の顔なんて1ミリも見ない。廊下の少し先を見ながら…ほくそ笑むような…ニヤリと片側の口角が上がる表情。

揺れる白衣の裾が僅かに俺の足にかすれて、まるで触れられたかのように身体に力が入った。

会話もない、アイコンタクトもない、ただのすれ違い。

ただの微笑……。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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