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何かを期待していたんだろうか…

何か?

何?

え?いやっ!!違うっ!!

違うに決まってる!!

あんな…

あんな目隠しなんてされて…

あんな…

格好で…辱められていた生徒を

羨むわけないじゃないかっ!!

俺は取り残された教室で俯き、震えていた。

寒い…だけど、掴まれた手首と、相葉先生が額を置いた俺の肩がじんわりと熱を持っていた。

鞄を肩に担いで、握られた手首を反対の手で摩った。

そっと…

そっと…鼻先に近づけて匂いを嗅ぐ。

少し甘い…大人の香水の香りがした。

洒落た相葉先生に、よく似合った香りで、俺はギュッと胸が引きつれるのを感じて、また、怖くなった。

机の上に頬杖を付いて不敵に微笑む姿を思い出す。

揶揄うように…大人の男の色気が俺を捕らえて離さなかった。

すっかり薄暗くなった帰り道。

小さな石ころを見つけて、ローファーの先で蹴飛ばした。

コロコロと不規則な動きで溝に転がり落ちる。

憂鬱とはまさにこういう事だ。

なんて、感じながら溜息を吐いた。

保健委員なんてならなければ良かった。

保健室なんて覗かなければ良かった。

相葉先生の事なんて………ことなんて…

何なんだよ。

俺は冷える身体から香る相葉先生の残り香に唇を結んだ。

俺は一体、今…何を思った?

そんな筈ない。

そんな訳はない。

自宅に帰って、バスルームに直行した。

母さんがキッチンから何か言ってる。

「ごめんっ!先、風呂入るよっ!」

バスルームから叫んで鍵をかけた。

それから、制服をあっという間に脱ぎ去り、熱いシャワーを頭から浴びた。

手首に付いた甘い香りを鼻先に引き寄せながら、いつの間にか涙ぐんでいた。

どうしてだろう

どうしてだろう

俺は初めて…自分の性の対象に…

混乱していた。

投稿者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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