17

翌日は身体計測だった。

一限から生徒の誘導や、記録作業…。

横目に相葉先生を視界に入れて…何度もシャーペンの芯を折った。

時折横切る彼の白衣から甘い香りがして、心臓を鷲掴みにされてるような気持ちになって、苦しくて、涙を堪えた。

相葉先生は、普通過ぎた。

どの生徒とも同じように俺を扱って…

それが許せなかった。

好きが一個一個…積み木みたいに重なって…

真っ直ぐつめなくて…歪んで揺れる。

生徒の居なくなった保健室では近所の内科医が聴診器を鞄に閉まったり、相葉先生と世間話をしたりしていた。

俺はその間、各学年の記録用紙を順番に並べてはファイルに閉じる作業に没頭していた。

最後の用紙をファイリングし終わった頃、辺りがうんと静かな事に気付いた。

先生の机で作業していた俺はゆっくり後ろを振り返る。

斜め後ろで、相葉先生が生徒用の回転する丸椅子に掛けて長い足を放り出し俺を見ていた。

「ぁ…す、すみません!先生の机…」

『くふふ…いいよ。済んだ?』

「は、はい。一応、各学年、クラスごとに出席番号っ!せっ…先生」

相葉先生が後ろから俺を抱きしめてきた。

全く何の期待もしていなかっただけに驚いて固まってしまう。

肩から顔を出して机の上の整理されたファイルを眺めて俺を見上げてくる。

肩に顎を乗せる相葉先生を見下ろすと唇が今にも触れそうな距離になって、一気に顔が赤くなるのが分かった。

「ぁ…あのっ…」

『おまえさぁ…』

相葉先生はいつもよりうんと低い声で呟いた。

『いっつも物欲しそうな顔して…欲しいもんあんならちゃんと言ってみな?』

黒い瞳が俺を映す。

俺はゆっくり顎を引いた。

それから…視線を逸らした。

「相葉先生…恋人、居ますよね?俺っ…しってるんですよ」

『…ん?恋人?』

「だって…」

俺は勢い余ってそっぽ向いていた顔を戻してしまう。

相葉先生はニヤニヤしながら言った。

『やっぱりおまえだったんだな…覗いてたろ?』

相葉先生の指が俺の唇を撫でた。

短い息が漏れてしまう。

唇を撫でる指は次第に割れ目から中に押し込まれる。

「ぅゔ…」

『…舐めて…舌…絡めて。見ててやるから…』

「ぁ…はぁっぅ……」

『恋人は……居ないよ…あぁ、そうだ…おまえなる?俺の…恋人』

ニヤリと笑う相葉先生が怖かったのに、胸が熱くて、身体が震えて、甘い香りで頭の芯が疼いて…何も考えられない。

ギィッと椅子が回され、向かい合う。

「な…なりたいです。先生のっ!相葉先生のっ恋人っ…」

涙がポロポロ流れ落ちる。

『くふふ…じゃ、舐めろよ…』

俺は指先を舐めるのかと思ったら、相葉先生はゆっくりベルトに手をかけた。

スラックスのファスナーに手をかけ始めたもんだから、俺は慌ててしまう。

「まっ!待って下さいっ!」

『何だ…もう降参かよ』

相葉先生は髪をかき上げながらファスナーから手を離した。

俺は何に混乱していたのか分からないほどにパニックだった。

突然の流れに嬉しいのか、そうじゃないのかさえ分からなくなる。

相葉先生は俯き泣き始めた俺の頭を引き寄せた。

『面倒くさいと…すぐ捨てるよ?』

耳元で囁かれた言葉は…

優しい声の、非道な台詞。

俺は腕の中から顔を上げる。ふるふると必死に首を左右に振った。

向かい合って椅子に座っていた俺と先生。

ニッコリ笑うと、相葉先生はネクタイを引き抜いた。

あの時と同じ…。

両手でピンと張ると、俺の目を塞いで縛った。

耳元で

『おまえは…こっち側だろ?』

そう囁かれて、まるで魔法にかかったように、椅子から降りてひざまずいた。

相葉先生の膝に手をかけてしゃがむ。

視界は闇。

息が上がる。

相葉先生の指が髪に埋まって、唇にヌルリと熱い熱が押し当てられた。

俺はそれをバクバク跳ねる自分の心臓音を聞きながら口内に導いた。

初めて感じる男の味。

ギュッと下半身に痛みを感じて口からモノを出してしまう。

「ぅゔっ!痛っ…」

『痛くないよ…気持ちいい…だろ?…しっかり勃ってる…やっぱりおまえは…こっち側。』

「ぁあっ!あいっば先っ生っ!!痛っ!!」

相葉先生は俺の反応した下半身をスリッパで踏みつけていた。

グリグリとねじるように…。

「やっめてっ…」

『咥えろよ…恋人なんだろう?…俺の』

「くぅっ…」

痛みに耐えながらゆっくり口を開いた。

初めてでも分かる。

同じ男なんだ。

どこを…どうして欲しいか…舌を這わすと、俺の下半身を虐める足が止まった。

両手で頭を撫でられ、頭上から甘い吐息が降ってくる。

どんな顔をしてるの?

俺で感じてる先生は…どんな風に…

シュッとネクタイが外される。それは突然で俺が今、どんな卑猥な姿かを思い知る。

『上手…もっとして…気持ちいい』

相葉先生は甘くとろけるような顔で俺の頰を撫でた。

俺は更に喉奥を突くような勢いで咥え込む。

咥えながら…相葉先生を見つめていた。

相葉先生も、息を荒げながら俺を見つめてくれる。

堪らなかった。

俺の方が相葉先生を支配しているような気分だったせいだ。

グチュ グチュ グチュ

唾液が絡んで音を立てる。

『あぁ~…良い…イキそう…』

口内で張り詰めた熱が弾けた。

初めて口で受け止めたソレはお世辞にも美味いとは言えない。

だけど、そのままゴクンと喉元を通り過ぎた。

『飲んだ?』

相葉先生はひざまづく俺を覗き込んだ。

小さく頷く。

『くふふ…よくできました。…じゃあ、綺麗にするとこまでな』

まだ白濁がついた熱を差し出され俺はペロペロと犬のようにそれを掃除した。

相葉先生は満足そうにファスナーを引き上げ服装を正す。

俺の身体を引き起こし、ニッコリ笑って呟いた。

『お疲れ様。』

「せ、先生っ」

『何?』

「俺…俺、先生が好きです」

『…………そう…』

「そうって…何か…言って下さい」

相葉先生は椅子から立ち上がって壁にかかった鏡の前で丁寧にネクタイを結んだ。

ゆっくり振り返って、クシャッと微笑み、それから低い声で、

『教室へ帰りなさい』

と真顔で呟いた。

教室へ

帰りなさい。

投稿者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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