11

電話の向こうで大野さんが溜息をついてるのが分かった

仕方ないなぁって小さく聞こえてから一人で来れるかって心配してくれた

タクシーを拾って、相葉さんちより少し離れた大野さんのマンションへ向かった。

大野さんのマンションはアトリエを併設された少し特殊な形をしてる。

タクシーを降りてエントランスに目をやると、いつものフワフワの目を細めた大野さんがズボンのポケットに両手突っ込んだ姿で立っていた

『そろそろ来るかなって迎えに来てやったぞンフフ  』

「迎えにって…フフ…普通さぁ、車で駆け付けてくれる事じゃないの?」

『バーカ、俺が免許持ってないの知ってんだろ?ここが俺の送迎最長区間だよ』

「エントランス?」

『そ、エントランスゥ~、いくぞ』

スリッパでペタペタ歩く大野さんに続く

粉雪はとうに溶けていて

大野さんの部屋はあったかく、画材の匂いがした

『ビール飲むか?』

「いや、いいや。さっき…悪酔いしたとこだから…」

大野さんは何も聞かず大きな絵を描いている。

この人いっつもそう。聞かない。俺が喋るまで隣でフワフワ目を細めて…

「何の絵描いてんの?」

『ん~…まだ決めてない』

「何それ?!そんなんで進むの?」

クルクル回る椅子をこっちに向けると、大野さんはニタっと笑った。

『何とかなんだよ。決めてなくてもどんな絵になるかだんだん分かってくる。自分が諦めなきゃいんだよ。そしたら、答えに向かって進んでく』

「何それ…」

『ニノ…』

大野さんが椅子を回して俺に背を向けた

『アイツは、いい奴だから大丈夫だ』

……

俺はこの気持ちを誰にも話した事はない。

なんなら、墓場まで持って行くくらいの覚悟があったくらいだ。

でも、いつの頃からか、この人だけには敵わない。

話してないのに、いつのどんな時だって会話が噛み合う。

俺が唯一、相葉さんの事を相葉さんの名前を出さずに話せる人。

「んふふ…知ってるよぉ、そんな事…もうずいぶん長い事…知ってる」

『気持ち辛いなら…』

「うん…辛くなってさ…辛くて、でも絶対どんな行動も起こさず過ごして行けるって思ってたんだ…」

『俺が何か出来るなら』

俺は首を大きく横に振った

『ニノ…』

「今日あいつんちに行ったんだ。前、飲みにいったときにね…変な空気になっちゃって。アイツそういうの気にするじゃん?何か、俺に嫌われてるんじゃないか?とかバカな事言い出して。そん時もさ、そんなはずない!って言ったのに、空気変わんなくて…」

『で、お前は今日言い訳をしに行って…』

「ンフフ…俺とした事がヘマしちゃってさ」

気づいたらポタポタ涙が落ちた。作った笑顔は失敗に終わる。

洒落たソファーに膝を抱えて座る俺は俯いて顔を隠した。

肩が震えて怖くて怖くて

嵐でさえ居れなくなったら?

震える肩に大野さんの匂いがするブランケットがソッと俺を包み込んだ

外はまた粉雪…

部屋はあったかいのにこんなに苦しくて、

心が凍りつくんじゃないかと

肩にかかるブランケットにしがみついた

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です