25

「相葉先生っ…ハァ、ハァ」

『くふふ…慌てすぎじゃね?』

向こう側から息切れしながら駆け付けた俺を見て笑った。

ポトンとタバコを足元に落として軽く踏みにじる先生。

「…嬉しくて…」

俺は踏みにじられたタバコの無残な姿を眺めながら呟いた。

『…ふぅん…そぅ…』

「はい…」

相葉先生は俯き小さく溜息を吐いたように見えた。

『行こうか、迷うかと思ったけど、今時だな。携帯あったら迷う方が難しい』

「そんなっ!迎えに来てくれて…ありがとうございます。」

『……いーえ…どういたしまして。』

相葉先生は俺に背中を向けて棒読みに返事を返し歩き出した。

少し遅れをとった俺は小さく小走りに先生の後ろ姿に追いついた。

先生のマンションは一人暮らしの割に広くて、殺風景な印象を受けた。

大きなブラウンのソファーがあって、部屋の隅に観葉植物が綺麗な緑を輝かせていた。

『ボーッと突っ立ってないで座れば?』

「ぁ…はいっ」

ソファーに掛ける相葉先生の少し隣に腰を下ろした。

今更緊張がピークに達し始める。

早鐘を打つ心臓は明らかに恐怖からでは無く、期待からだった。

期待…俺が相葉先生に期待している事…

それは…

キス。

まだ…あの人の唇に…触れられていないせい。

欲求が高まって…燻ってる。

カラカラと乾く

乾いて…ヒビ割れる前に

潤して欲しい。

「先生…」

『…コーヒーでも飲むか?』

「えっと…はい…頂きます」

相葉先生はソファーから立ち上がってキッチンへ向かった。

お洒落なコーヒーメーカーに豆を入れスイッチを押すのが見える。

『おまえさ…』

「はい」

『いや……やっぱいいわ』

苦笑い?自嘲するような笑みを浮かべて先生はマグカップにコーヒーを注いだ。

ユラユラと白い湯気が立ち昇り、良い香りが鼻をくすぐる。

相葉先生はカップを両手にソファーに戻って来た。

『ほら…外、まだ少し寒いからな』

思ってるよりずっと優しい相葉先生の対応に、赤面してしまう。

「ありがとうございます」

手渡されたカップは温かい温度で冷えた指先を溶かしていく。

一口飲んでから、前のテーブルにカップを置いた。

相葉先生は隣で足を組みながら、何だか難しそうな雑誌を読んでいた。

「ぁの…」

『ん?…あぁ…暇か?好きにしてていいぞ、テレビ』

「あのっ!」

『んだよ…るせぇなぁ…』

相葉先生は眉間に皺を寄せてカップをテーブルに置いた。組んでいた足を下ろしてこっちを向く。

「さっき言いかけたの…俺、気になっちゃって…」

『ぁあ?………さっきって…』

相葉先生はちょっと考えた風に唇を撫でて、思い出していた。何を言おうとしたかを。

「おまえさ…って…やっぱいいって、言いましたよね?何…言いかけてたんですか?」

『あ~……誘っといてなんだけどさ』

相葉先生はさっき言いかけた事を思い出したように軽く頷くと、いきなりドサッとソファーに俺を押し倒した。

あんまりに突然の事で、天井と相葉先生の顔がチカチカと光る。

「せっ!先生っ…」

『ホイホイ上がり込んじゃって…こうなるとか考えなかった?てかさ、おまえ、いっつもこんな隙だらけなわけ?』

「隙だらけって…そんな」

俺は小さく身体が震えていた。

押さえ込まれた頭の上の手首がジンとする。

相葉先生の膝がゆっくり俺の足を捌いて…開かれて行く。そこへ体を沈める相葉先生。

『こうされる事、期待してきたんだろ?』

「せ…先生っ…違っゔぅっ!」

先生は膝で俺の股間を強く押す。

『違わない。ほら…感じてる』

俺はグリグリと弄ばれる股間部分に痛みを感じながら、首を左右に振る。

「こんなっヤッ!!ぁあっ!」

『止める?…止めるの?』

膝がグゥッと俺の熱を踏みつける。

「先生っ!!やめってっ!」

遂に涙まで流して懇願する。

途端に拘束されていた手首が離された。

覆い被さっていた相葉先生がパッと身体を離す。

そのままドサっとソファーにもたれて、天井を見上げながらクスクス笑い出した。

俺は肘を突きながら上半身を起こし、流れる涙を手の甲で拭った。

相葉先生は片方の手の平で顔を覆いながら、笑い止めないとばかりに、肩を揺らして…

笑っていた。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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