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「あの…先生!…先生っ!」

俺は涙を拭って笑い続ける相葉先生を呼んだ。

『クククッ…はぁ~おっかしぃ……なぁんだよ。』

「俺が…期待してた事は…間違ってません」

相葉先生はクスクス笑うのをやめた。

隣にいる俺を見てコテンと首を傾げる。

『…じゃ、脱げよ』

「そうじゃなくて…」

『…何だよ』

相葉先生は珍しい物でも見るように俺を見つめた。

俺は恥ずかしくてつい、モジモジしてしまう。

膝の間に両手を挟んで俯いた。

「キス…」

『は?』

「だっだからっ!俺は今日っ!!相葉先生に初めてキスしてもらえるかもってっ!!そのっ!つまり、それを期待してたわけで…」

そぉっと顔を上げる。

相葉先生はまるで鳩が豆鉄砲を喰らったみたいな顔をしていた。

「相葉先生…?どうか…しましたか?」

『……あぁ…いや…』

相葉先生はバッと立ち上がった。

「先生?」

『おまえ、コーヒーおかわりは?』

「え?ぁ…まだ…殆ど飲んでません…」

『あぁ…そ…』

相葉先生はそういうとキッチンに入って冷蔵庫から缶ビールを取り出した。

プシュッとすぐにプルタブが引かれる音がした。

先生の飲みかけのコーヒーが俺のカップの横で冷えていくようだった。

テーブルからもう一度キッチンの方へ視線をやる。

相葉先生はビールをグイグイ煽ってあっという間に一缶を空にした。

「せ、先生…」

『何?』

先生はキッチンから俺を見つめる。

首を傾げ、少しふて腐れたような表情。

「いぇ…あのっ…」

『前も言ったけど…物欲しそうな顔してさぁ…自覚ある?』

「あっありません!そんなつもりじゃ…」

冷蔵庫からもう一缶ビールを取り出した先生はこっちに歩いてくる。

ソファーにかけると、プルタブをゆっくり引き、俺を見つめながらビールを一口煽った。

そして、ゆっくり近づいて、俺の肩に手を掛け…

唇を重ねた。

途端に流れ込む苦味の液体。

塞がれた唇のせいで吐き出す事も出来ないままに自分の喉仏が揺れた。

同時に相葉先生の舌先が押し入ってくる。

苦いビールの後だからだろうか、妙に甘く感じる彼の舌に自分の舌を絡める。

うっとりするような柔らかい感触が口内を満たして唾液が溢れる。

気づいたら必死に相葉先生に抱きついて顔を傾けより深く繋がる事を求めていた。

クチュっと何度も舌と唾液が絡まる音がする。

静かな室内に荒くなる息遣いだけが響く。

いつのまにかソファーに押し倒され、キスは続く。

「んっ…っはぁ…んぅっ…ン…」

息継ぎの合間に漏れる吐息。相葉先生の手が頰を撫でる。

いつの間にか唇からフェイスラインを辿り、喉仏を甘噛みされ、更にゆっくり首筋を唇が辿って行く。

「はぁ…はぁ…っんっ!…あいっばっ…先っ…」

鎖骨を軽く噛んで舐められる。

身体中が敏感になって、余す事なく先生を受け入れる。

『なぁ…』

肩に唇を寄せ覆い被さった相葉先生が上目遣いに呟いた。

『おまえ…こういうの初めて?』

「あっ!当たり前じゃないですか!男と…付き合った事なんて…ないです。」

『へぇ…のわりには、エロい顔すんな』

「なっ!!何言ってるんですかっ!」

先生はギシッとソファーを軋ませながら、俺の顔の横に手を突き見下ろしてきた。

『俺のキス…上手だった?…すげぇ…勃ってるけど…』

ギュッと服の上から掴まれる。

「あっ!…先生っやめっ」

『また、やめて?…おまえ何しに来たんだよ。キスだけで終わるわけないじゃん…面倒くさいけど…ちゃんと解してやるから』

ニヤリと笑う相葉先生は、そう言って首筋に顔を埋める。

俺は何故だかゾクリと恐怖を感じて…先生の肩を掴んで引き離した。

「やめっ!ごめんなさいっ!俺っ!ごめんなさいっ」

ポカンとする相葉先生。

『……ハッ!…そう?…へぇ……ぁ…そぉ~…』

相葉先生は額に手を当てて一瞬だけ笑い、続け様に感心し始めた。

「せ、先生…俺…」

遠慮気味にソファーに正座してしまう。

『いやっ!…良い。今、何も言うな…ハハ…マジかよ…へぇ…』

相葉先生はひどく動揺していて、まるで自分を落ち着かせれるみたいに独り言を呟いた。

呟いてから、テーブルのビールをまた一気に煽り、俺を見て言った。

『悪い…ちょっと用事思い出した…帰ってくれないか』

一瞬、俺を見た瞳の色が、力なくて、何だか心配になるくらいだった。

「先生…」

『聞こえた?…帰れよ』

相葉先生は

酷く辛そうな顔をして、泣きそうな顔をして

俺を睨みつけた。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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