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相葉先生に今にも噛み付かれそうだったせいか俺は大人しくマンションを後にした。

本当は…抱きしめてあげたかった。

ソファーに座って項垂れる彼は今から用事で何かをするとか、何処かへ出掛けるとかいう風にはとても見えなかった。

ただ、何かに驚いて…何かを思い出したような…。

俺が、あんなとこで拒んだから?

相葉先生程の人が拒否される事なんてないだろうし…

ショック?受けたとか?

いやいやいや!…そんなんじゃなかった。

そんなんじゃ

なかったよな…

寧ろそうならいいのに…そうだったなら…

俺のこの名前が見つからない感情は収まったかも知れない。

相葉先生が…怖く見えるのに…可愛くて仕方ない。ムクムクと湧き上がる…独占的な欲望。

帰り道は来た時よりずっと早く家に着いた気がした。

歩いている間、相葉先生としたキスを思い出していた。

甘い香水。甘い唾液。柔らかな舌と、もっていかれそうになる上手な…キス。

俺を乱暴に扱おうとするくせに…最後までそうしない優しさ。

本当のあなたは…あんなじゃない気がする。

学校で色んな子を食べちゃう怪獣みたいなふりをして、あれこれと手を出して欲張りな人みたいに食い散らかすくせに…

ねぇ…どうして俺にもそうしないの?

俺は…

あんまり純情な子じゃないかも知れないでしょ?

ねぇ…どうして俺にも

そうしないの?

夜ご飯は大好きなハンバーグ。

俺は箸先で割り開いたハンバーグから垂れ流れる肉汁に目を細めた。

ジワジワと脂を纏った汁が白い皿を汚す。

俺はワンプレートに盛られたサラダをソッと端へ寄せた。

ミニトマトが転がって、肉汁に絡む。

それをボンヤリ見下ろしながら、箸でトマトをコロコロと肉汁の海に泳がせた。

「汚して欲しかった…」

保健室で、目隠しをして、俺に咥えさせた時みたいに…

少し乱暴な…相葉先生でよかった。

「和?何か言った?」

母さんが向かいの席から話しかけてくる。

「ううん、何でもない。ハンバーグ、今日も美味いよ。もう一つ食べたいっ!」

「はいはい、いっつもたいして食べないのに、本当ハンバーグは好きよねぇ」

母さんはニコニコ嬉しそうに微笑む。

食べたいんだもん…好きだから。

ただ、普通に頂かれたんじゃ…

その他大勢に紛れちゃう。

ねぇ…相葉先生…

俺はね…相葉先生が

大好きだよ。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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