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相葉さんが何かに戸惑ってる内に、畳み掛けるべきなんだろうけど、ここで失敗するわけにはいかないし。

慎重にならざるを得ないよね。

俺達は相葉さんおすすめのラーメン屋さんの暖簾を潜った。

カウンター席は既に一杯で、2人掛けの向き合って座るテーブル席についた。

小さなテーブルを挟んだ距離に相葉さんが微笑んでいる。

『味噌ラーメンが美味いんだ。ニノ好き?』

長方形の細長いメニュー表を開きながら俺に差し出してくれる。

「俺、相葉さんのおすすめが良いな。」

上目遣いにニッコリ笑って見せる。

相葉さんは一瞬固まって、フイと視線を外しながら

『おっ、オッケー!じゃ、味噌ラーメンにしよう!すみませーん!味噌ラーメン二つっ!』

混み合った店内。

厨房から、親父さんがあいよっ!!と返事を返した。

メニューを立て掛けて片付けながら、相葉さんは少しソワソワしている。

俺は彼にバレない程度にクスッと笑って、それから、仕事の話に切り替えた。

相葉さんがリラックスしやすいように。

「お昼からは櫻井主任と出るんだよね?新しい企画?」

『あ、うん!そうなんだ。俺がずっと推してた企画。やっと通ったんだよね。思ってる通りに…。やっぱ櫻井主任は凄いよ。俺が先方に話しても、門前払い宜しくだったからね。あの人が話してくれて、向こうさんも気づくとこがあったって感じでさ。…本当、あの人かっこいいよ。敵わないもん』

「そうかな…俺は、相葉さんだって凄く尊敬出来る先輩だよ?カッコよくて、優しくて…櫻井主任より…」

俺は俯いてしまう。

そりゃそうだ。

櫻井主任より…ずっとずっと良く見えてるし、ずっとずっと好きなんだから。

『ニノ?』

相葉さんが、俺を覗き込む。

俺は何だか泣きそうになってしまいながら、チラッと相葉さんを見た。

「相葉さんが…好きだよ…」

『えっ?』

ガタッと音を立てて相葉さんが軽く腰を浮かす。テーブルに突いた手の指があんまりに綺麗だから、余計な事を考えたけど、慌てて”普通の後輩”を演じた。

「だからっ…俺は…相葉さんの仕事の仕方が凄く…凄く好きなんだ。」

相葉さんが口をパクパクさせながら、ガタンと浮かせていた腰を椅子に戻した。

『ぁ…ぁあっ!あぁっ!そっ!そっちね!そっち!うんっ!ハハッ…』

俺は心の中で無駄な会話はない事を確信しながら、ニヤリとほくそ笑んでいた。

「相葉さん?ど、どうかした?」

『あぁっ!いやっ!どーもしないっ!うん!あっ!ラーメン来たよ』

「うん…美味そうっ!」

俺は目を輝かせながら丼を覗き込んだ。

『美味いよ!気に入ると良いな!頂きますっ!』

相葉さんが手を合わせるから、俺もニコニコと微笑みながら手を合わせた。

相葉さんは、美味そうにラーメンを食べた。

若干、何かをうやむやにするように食べた。

俺はそれをオカズにしながら

相葉さんが好きなラーメンを食べた。

それはとても美味しくて

それはとても…

不確かな味だった。

投稿者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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