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会社につくと、松本さんは櫻井主任のデスクに手を突いて綺麗な顔を歪めながら何かを言い合っていた。

俺と相葉さんはそれを目にしながらも、内容までは聞き取れず、自分のデスクに鞄を置いた。

立ち上げたパソコンに溜まった提出書類が映る。

最近、まともに考えがまとまらないおかげでちっとも仕事にならなかったせいだ。

松本さんが向こう側からこちらに戻ってくるのが見えた。

幾分か苛つきを感じているその表情は話しかけるべきじゃないような気がして、俺は自分のパソコンに向かって猫背を保った。

後ろの席で相葉さんが松本さんに声を掛ける。

『松潤、トラブる?』

「ぁ~…まぁ、そんなとこ。俺、ちょい外回り行って来るわ。」

『え?もう出るの?』

「あぁ…ここに居ると目にしたくないもんが頭ん中邪魔しちゃってダメなんだよ。」

『…目に?』

俺は後ろの会話にヒヤヒヤしていなかった訳じゃない。

どうにも止まらない汗は多分危機を感じているせいだし、全てをバラされかねないのは承知だからだ。

「あぁ、溜まった仕事の事。悪い、言い方ミスったな。気にしないで」

『あ、うん…もし良かったら俺、手伝うからね?松潤でも手が詰まる事あるんだな。今まで見た事ないわ』

相葉さんの言葉に俺はネクタイを軽く緩めた。

息苦しい。

「俺、完璧人間じゃないからね!完璧主義なだけ。なぁ…ニノ」

急に会話を振られて、ガチャンと椅子を鳴らしながら肩を跳び上がらせた。

「ぁ…ま、松本さんはいつだって完璧だよ。ねぇ…相葉さん。」

引き攣る表情に、足に置いた手で内腿をつねった。

『くふふ…そうだね。松潤はなんだかんだ言ったって、いつも完璧だもん。』

「意見が合うなんて、仲が良いんだな」

ニヤリと皮肉を言いながら笑う松本さんに俺は視線を落とす。

やっぱり息苦しい。

こんな事が長く続くとは到底思えなかった。

「じゃ、また後で。」

松本さんはサラッと会話を流すように、まるで普通にオフィスを出て行った。

投稿者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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