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自室に入るとキヨさんの声が向かいのドアに投げ掛けられているのが聞こえた。

次はもれなく自分の番。

「坊ちゃん、食事のご用意ができました。」

『…すぐ行くよ』

キヨさんの足音が遠ざかるのを確認してゆっくり部屋の扉を開けた。

さすがの相性だとでも言うべきか…向かいの部屋からちょうどニノも出てきたところだった。

俺は、ニノの浮かない顔を見て気まずさに俯いた。

そうしたら、ニノが俺の腕を掴んで呟いた。

なんて言ったのか、不確かなほどに

小さな呟き。

「やめよう。やっぱり…やめよう」

スルリと離れた指先。

甘い香り。

すれ違う視線。

薄い唇が…震えていたのに

守るって

愛してるって

約束したのに?

俺が、兄弟であることに怯えたから?

世間を 

気にかけたから?

『ニノっ!!!』

廊下の先を行くニノが振り返って優しく笑った…

「兄さん、ご飯だよ』

それは、もう…

俺を見ていないような目をして…

ちゃんと言ったんだ…

兄さんて

もう

やっぱり

やめようって

言ったんだ。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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