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「さっき電話があった。…潤の携帯からで…だけど…相手は潤じゃなかった。男の声で、何か…ラリってるみたいに呂律が怪しくて、後ろで呻き声みたいな声が聞こえるし…俺、何がなんだか…男は斡旋がどうとか、話が違うとか叫んだりして」

チラリとニノの顔を見ると、自分の身体をギュッと抱きしめて震えながら俯いた。

『ニノ…』

「…翔さん…その人、何か他にも言ったよね?」

ニノの俯いたまま見開かれた目が充血するように力んで見える。

「…それが…」

翔ちゃんは途端に口籠もり、俺に助けを求めるような目をする。

ニノが確実に絡んでいる事を、最早翔ちゃんは誰にも隠せてはいなかった。

『何…言われたの?』

恐る恐る問いかける。

翔ちゃんは両手を強く握り、作った拳に向け話し始めた。

「和を返せって…すぐに連れて来ないと…潤をもっと痛い目に合わすって…和って…最初は俺、分かんなくてさ、誰なんだって怒鳴ってたんだけど、男が二宮和也だっ!て…俺、ニノの事だって分かったんだけど…こんなヤベェ奴にニノを差し出すわけにもいかないし、潤が電話の向こうで…何かされてんだよっ!俺っ!頭パニックになって!次電話するまでに何とかしろみたいな事言ってて、冷静にっ!冷静にっ!て思ったんだけど、潤がっ!早く助けないとっ!」

翔ちゃんの話を聞いて、ニノは薄っすら微笑んだ。

『…ニノ?』

俺はその微笑みが怖くてニノの肩に触れる。

笑ったまま…ニノは俺を琥珀色の瞳に映し、呟いた。

「汚れた俺たちが…幸せになろうなんて、やっぱり夢だったんだよ」

『何言って』

「そのまんま。今言ったまんまだよ。翔さん、潤くんは俺が助けるから。その電話貸して貰える?」

ニノの目はもう、チャンネルが変わったみたいに違う所を見ていた。

翔ちゃんは俺を見て困った顔をやめない。

おそらく最初からニノを巻き込むつもりが無かった翔ちゃんは、事態の急変化に戸惑っていた。

ニノは俺の恋人だと分かっている以上、翔ちゃんは危険な目に遭わすつもりなんて微塵もなかった筈だからだ。

俺と二人、何とか潤くんを助けようと思っていたに違いない。

「翔さんっっ!!!携帯っ!」

ニノの大きな声で俺と翔ちゃんは肩を跳び上がらせる。

テーブルに置かれていた翔ちゃんの携帯を勝手に手にしたニノは画面をタップし始める。

『ニノっ!』

「相葉さんは黙っててっ!」

そう怒鳴ると、携帯を耳に押し当てた。

リダイヤルで潤くんの携帯を鳴らしているらしく、俺と翔ちゃんは席を立ちあがったものの…どうする事も出来ずにニノが携帯を持つ姿を見守るしか出来なかった。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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