77

「もしもし…あぁ…やっぱりあなたですか。潤くんは?潤くんにこれ以上何かしたら……殺しますよ…なぁ~んてね。ふふ…」

ニノが淡々と話す日常会話のような声音とは裏腹に内容は物騒極まりなく、おまけにどうやら相手の事をよく知っている口ぶりだった。冗談なのか本気なのかも分からない会話。親しいような、そうじゃないような…掴めない口ぶり。

「えぇ…かまいませんよ。分かりました。」

ニノはそう言うとゆっくり携帯の画面をタップして電話を切った。

『ニノっ!相手っ!知ってんのかっ?!』

両肩を掴んで身体を揺らす。

ニノは力なくグラグラと揺れながら、ボンヤリとどこを見ているのか分からない虚ろな目をして、笑った。

「離してくんない?…ちょっと行ってくる。ただの友達だったよ。悪戯が過ぎる人でね、ちゃんと注意しなきゃなぁ…相葉さんと翔さんはここで待ってて」

『はぁっ?!バカな事言うなよっ!この流れでハイそうですかってなる訳ないだろっ!誰なんだよっ!相手はっ!お前知ってんだろっ!』

正直この時…

俺は色々な物を見落としていたのかも知れない。

慌てるあまり、ニノの気持ちに、ちゃんと気付けてなかったんだ。

「うるさいなっ!!この件さ!相葉さんには関係のない事だよっ!!ていうかさ、俺らやっぱ兄弟だしっ!よくよく考えたら親父が一緒とかキモいんだよなっ!俺さっ!思ったんだけど…あんたのせいで不幸な思いしてたんじゃない?あぁ…そうだよ!そうだっ!俺があんたであんたが俺なら良かったんだよっ!育ちの良い坊ちゃんにはわからないっ!貧乏で!情けなくて!みすぼらしい俺の思いなんか!わかるわけないんだよっ!俺、帰るわ!キヨさんにあんな話した事、早く取り消さないと!」

俺は捲し立てるニノの腕を引いた。

『お前、急に何言い出してんの?…冗談だろ?』

「…急にじゃないよ…ちょっと前から、考えてた。気持ち悪い。離せ」

ニノは冷たい目で呟き、俺の腕を振り払った。

それから翔ちゃんに向かって

「翔さん、潤くんはそのうち帰ってくるよ。あの電話の相手、危ない相手じゃないから。揶揄われたんだよ…ごめんね、冗談キツイって叱っとくから許してやって。…じゃ」

「ニ、ニノ…」

翔ちゃんもあまりのスピードある展開に躊躇いがちに名前を呟く以外、なす術がないといった感じだった。

ニノが玄関から出て行ってしまう。

暫く無言で立ち尽くす俺達。

そして、翔ちゃんが俺の肩を掴んだ。

「おいっ!アレ、なんかおかしいよ!…いや!絶対おかしい!追いかけろっ!」

翔ちゃんの焦った声に我に返った俺は玄関を飛び出した。

だけど…

そこにはもうニノの姿が無くて…

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です