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『…ざけんなょ…ふざけんなっ!!』

俺はバンッとエレベーターのボタンを拳で殴ると、非常階段を駆け降りた。

息が切れて、足がもつれながらも大通りに出る。右を見ても、左を見てもニノは見当たらず、俺は肩を上下に揺らし息を整えながら、狭まった喉に唾をグッと送りこんだ。

翔ちゃんのマンションの駐車場まで戻り、メットを被り地下から飛び出す。

行き先も分からず、勿論、アテもないままに走り回った。

辺りがどんどん暗くなって、俺はまた鼻を突く雨の匂いを感じていた。

近くの公園の前でフルフェイスのメットを脱ぎ、頭を振ってへばりついた髪をはらう。

けつポケットから携帯を取り出して、おーちゃんに連絡した。

もどかしい呼び出し音。

焦ったい時間。

のんびりしたおーちゃんの声に思わず前のめりになって声を発する。

陽が落ちて雨雲が垂れ込め辺りが暗くなる。

「相葉ちゃん?どーしたぁ?」

『おーちゃんっ!そっちに潤くんかニノ来てないっ?!』

「二人とも来てないぞ?なんだ?どうかしたのかよ」

『おー…ちゃん…っ俺っ…俺っ…』

ジワジワ滲んだのは他でもない自分の涙だった。

幼馴染みのあまりにいつもと変わらない声に、正直ホッとして、でも、結果に落胆したら、どんどん止められなくなって、俺は鼻を啜りながらおーちゃんにここまでを説明した。

「そうか…せっかくキヨさんに認めて貰えた矢先にとんだ事件だな…翔ちゃんから連絡は?」

俺は腕で鼻水や涙をグイと拭いながら

『まだ…ない。』

と、まるで小さな子供のような返事をした。

「闇雲に走り回ってもラチがあかねぇだろ。とりあえず、俺はここで待機してるよ。もしかしたら来るかもしんねぇし。相葉ちゃんは電話を切ったら翔ちゃんから連絡ないか確認な。そんで、無かったら一回戻れ。この空模様だと、もうすぐ雨が降るよ」

『ズッ…ズズッ…ぅん…分かった…おーちゃん…』

鼻を啜りながら不安でいっぱいの俺はおーちゃんを呼んでしまう。幼馴染のおーちゃんは全てお見通しで、俺を悟すようにいつも通りだった。

「大丈夫だ。何かあったら俺と翔ちゃんがついてる。なんとかなるさ。相葉ちゃんは泣くんじゃねぇよ。分かったか?」

『…あり…がとっ…』

電話を切って、おーちゃんに言われた通り、着信がないか確認した。

誰からの着信もない。メールもない。

バイクに跨ったままの俺は涙を拭うとヘルメットを被り直し、前を見据えて、アクセルを回した。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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