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気持ち悪い、離せと言ったニノ。

あの琥珀色の瞳は、優しさこそなくなった冷たい物だったけど、あんな言葉を吐きながらも、やっぱりと水分を多く含んでキラキラと綺麗だった。

翔ちゃんがおかしいと言ってくれたのが救いだ。

でないと、俺はこの関係をまた振り出しに戻しかねなかったから。

ニノが拒むなら

ニノが嫌なら

ニノを愛していても…

ニノを手離す選択を、したかも知れない。

全てニノの為。

俺がアイツを、想っている証。

公道を走る俺のヘルメットのシールドが濡れ始める。

雨の匂いはたちまち強まり、靡かせたシャツを冷やした。

翔ちゃんのマンションにバイクを止めると、ケツポケットで携帯が鳴った。

ずぶ濡れになった俺は、張り付くポケットから携帯を引きぬく。

相手は翔ちゃんだった。

「もしもし!雅紀?」

少し荒げた口調が気になりながらも返事を返す。

『うん、何かあった?今ちょうど翔ちゃんのマンションに』

「潤がっ!…潤が帰った…今…風呂に」

俺はハンドルにヘルメットをかけ、シャツの裾から滴る雫を見ていた。

何故だか嫌な予感がして、引き攣った声で翔ちゃんに問いかける。

『…風呂?』

「…酷い怪我をしてる…雨の中、放り出されたらしいんだ」

『け…が…?放り出されたって…こんな雨だよ…一体誰に…潤くんどこに居たって言うんだよ。』

ポタ ポタ ポタ  

コンクリートに裾から滴る水滴が次第に小さな水溜まりを作る。

「それが…やっぱり…ニノが喋ってた相手、友達なんかじゃないっぽい」

『…どう言う事?』

「潤、拉致られてたんだ…場所がよく分かんなかったらしいんだけど,解放されたのはさらわれた場所と同じだったみたいで。」

「ニノは…翔ちゃん、ニノは一緒じゃないのっ!!」

強く握った拳が震える。

俯き、唇を噛み締めて目を閉じた。

帰ってる。きっと潤くんと一緒に、帰ってきてる。それで、さっきのは嘘だよって、白い肌を紅く染めながら言うんだ。

「ニノは…帰ってない…潤と引き換えに…」

俺は地下駐車場の低い天井を仰ぎ見る…

拳はより力が入ってブルブルと震えた。

『潤くんが…無事で良かった』

俺は初めて、翔ちゃんに心にも無い嘘をついた。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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