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「雅紀っ、とりあえず上がって来てくれ。潤がわざと携帯を置いて来たらしいんだ」

『…携帯?』

「GPSだよ」

俺は一瞬息を呑んで、エレベーターに乗らず階段を駆け上がった。

ノックをする事もなく玄関扉を開き、中に駆け込む。

階段を駆け上がったせいで息切れが激しく、リビングに入ると翔ちゃんが携帯をなぞりながら何か紙にメモを取っていた。

『翔ちゃんっ!!』

「雅紀っ!場所!分かりそうだ!」

バタン…ペタペタ…

バスルームから扉の音。続いて素足でフローリングを歩く、力ない足音がこちらに来ることを躊躇しているようだった。

翔ちゃんがソファーから立ち上がり足音のする方へ歩いて行く。

扉の向こうで、啜り泣くような声が聞こえた。

翔ちゃんに肩を抱かれながらリビングに入って来た潤くんは…

壊された玩具のようにだらしなく腕を垂らして足を引き摺っていた。

口元は紫に腫れあがり、顔中に引っ掻き傷のようなものが幾筋にも走っている。

首周りに明らかに絞められたような内出血を引き起こして、それを発見した俺は当たり前のように手首に視線を流す。

そこには、抵抗できなくされていたであろう痣がクッキリと存在していた。

徐々に血の気が引いていく。

「潤…大丈夫か?本当に病院に」

「行かないっ!!大丈夫だから!…早くニノを」

自分の体に腕を回してゆっくり摩る潤くん。

「あぁ…今大体の居場所は分かった。寝室に置いてきた携帯に気付かれる前に急ごう」

俺はあまりのショックにポツリと呟いていた。

『潤くん…一体、何されたの?』

「雅紀っ!!」

咎めるように翔ちゃんが俺を怒鳴りつける。

『だってっ!!翔ちゃんも変だよっ!!こんな大怪我っ!病院行くのが普通だろっ!なんで風呂なんだよっ!!何でだよっ!』

「相葉さんっ!!ごめんっ!ごめんなさいっ…」

潤くんがぺたんとフローリングにへたり込んでしまう…

それから、震える声で…言ったんだ…。

「男が悪戯で弄ばれたとか、情けないじゃん」

そんな気がしていたのに

俺は

潤くんの傷を

簡単に抉った。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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