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yellow side

「ニノどうしたぁ?顔真っ赤だぜ?」

クラスメイトの松本潤が辞書を胸に抱えた俺に話しかけてくる。

「べっ!別に何でもないよ」

いや!本当はあるっ!

まーくんが幾ら人が居ないからって!

あんなカッコいい顔でっ!!

チューなんてするからいけないんだっ!!

スラッと伸びた身長をチビの俺に合わせて少し屈んで覗き込んでくるあの黒い大きな目がドキドキを煽る。

口から心臓出ちゃったらどうすんだよっ!

バカまーくんっ!!

中学の時は学ランで、それはそれで似合ってたんだけど…高校でブレザーになってから、まーくんはもっとカッコよく見える。

俺の恋人だなんて、いつか醒める夢なんじゃないかっていつも不安になる。

俺は男で、まーくんも男で…

「おいっ…おいって!ニノッ?本当に大丈夫か?」

潤くんが立ち尽くし俯く俺を心配そうに覗き込んだ。

ハッと我に返り慌てて平気なフリをする。

教室に先生が入って来て、俺は胸に抱えた辞書をギュッと握り直して席についた。

斜め前の席の潤くんがチラッとこっちを見て口パクで呟いてくる。

“ダ、イ、ジョー、ブ?”

潤くんはコテンと倒した首で心配してくる。俺はニッコリ笑って頷いた。

その時だ。先生が後ろを向いてる潤くんを注意する。

「松本ぉ~!よそ見してんなよぉ~」

「へぇ~い」

「へぇ~いじゃない、そこはハイだろお前はぁ~」

教室中がドッと笑いの渦に包まれ和やかなムードが流れた。

潤くんは違う中学だったんだけど、合同音楽会とか、近所の中学が集まる行事でいつだった頃からか顔見知りになり、高校で一緒になってからはずっと一緒にいる。

クールでカッコいいんだけど、ちょっとお茶目でクラスの人気者。俺は潤くんが大好きだ。

ペロッと舌を出して俺に無表情を向けてくる潤くん。全然反省してなくって、俺はプッと吹き出してしまった。

そのまま一限が始まって、俺はずっと辞書を触っていた。

汚い字で一番裏ページに相葉雅紀と書かれた名前を指先でなぞる。

まーくん、字汚いなぁ…

重症な事に、それだけでドキドキは高まっていた。

ずっと一緒にいたはずなのに、意識するポイントが毎日増えていって、正直困ってる。

こないだなんて、靴箱の所でまーくんが他の友達と笑い合ってるのを見てキュンキュンしてしまう始末だ。

頬杖をついて溜息を落とす。

あんなにモテるまーくんは、本当に俺なんかで良いのかな…

チャイムが鳴り響いて、辞書を閉じると、ノートやなんかを片付けた。

「ニノ、次、体育。行くぞ~」

俺は声のかかる方に顔を向け慌てて立ち上がった。

手にしていた辞書をどうしようか迷ったけど、着替えに行かないとならないし、仕方なく机の中に一旦、押し込んだ。

「うん!すぐ行く!」

後ろのロッカーから体操服の入った袋を手に潤くんと教室を出る。

その時、まーくんが俺を呼ぶのが聞こえた。

『カズっ!』

「あっ!まーくん!辞書」

「悪い、俺ら次、体育だから。行くぞニノ」

潤くんはまだ俺が喋ってるのを軽く遮るようにまーくんに無表情で告げる。それから俺の手首を掴んで引っ張った。

潤くんにズルズル引きずられるようにして廊下を行く。俺はまーくんをチラリと振り返る事しか出来なかった。

まーくんはポツンと取り残されたような姿で、ジッと俺を見ていた。

こんな時、2人の関係を誰にも打ち明ける事が出来ない歯痒さを感じる。

仕方ないんだけど…潤くんに、まーくんは彼氏なんだって伝えられたら…なんて、思っちゃうんだよ…。

著者

ninon

オリジナルの小説を書いていきます。 嵐さんの大ファンです。 黄色を愛でる幸せに生きています。 二宮和也Addiction... どうぞよろしくお願いいたします。 尚、このブログ作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ございません。

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